アルバムの1曲1曲が「NOCTURNAL BLOODLUST」という映画作品のワンシーン
―― では、最新アルバム『THE OMNIGOD』の聴きどころをひとりずつ教えていただけますか?
Masa 『THE OMNIGOD』は1曲目からノクブラの世界観がマックスな状態になっていて。1~5曲目くらいまで、休ませることなくたたみかけている構成なので、その勢いを感じてもらえれば! とにかくスピーカーぶっ壊れるくらいの迫力になっているので。
―― ノンストップで聴いてほしいと!
Masa スピーカーどころか家も爆発しちゃうんじゃないかってくらいの迫力になってるんで! アグレッシブでパワフルなアルバムになりました。
尋 自分は作曲者じゃなく作詞者側なんで……言葉は英語で難しいかもしれないですけど、「全部の曲の世界観が繋がってるんだ」というところを感じて欲しいです。全編ストーリーを読んでほしいというか。あとは、色んな声色を使って前作より一層聴き所がありますね。
―― 今回も7色のシャウトとデスヴォイスが楽しめますね(笑)。
Daichi 「Libra」というシングル曲をアルバムに収録しているんですけど、今までの作品に比べたら物珍しいのは、シングルver.とは別にアコースティックアレンジ(「Libra -another scene-」)を入れてるんです。
アコースティックが主体になるのは、このバンドでは初めてだし、他にもアルバム全編通して新鮮な曲がたくさん入っていると思うんですけど、それでもどの曲にもどことなく“ノクブラっぽい”節があって。「ノクブラっぽさをなぜ感じるのか?」というところを、全編聴きこんだ後に考えてみてはどうでしょう(笑)? そこがこのバンドの不思議なところだし、僕はノクブラのそういうところが好きですね。
―― 今回、アルバムの収録曲もバラエティに富んでいますよね。
Daichi 振り幅の大きなアルバムだと思います。あとアルバムのintroductionはいつも僕が最後に制作していて。聴いてもらったらわかると思うんですけど、今回のSEには「カチャッ」というスイッチ音が入ってるんです。で、一番最後の「Linaria」という曲にもスイッチ音が入っていて、スイッチ音で始まってスイッチ音で終わるという一連の流れがある。
それはアルバムの“物語”という1本の芯を、小さいところからでも表現していきたい心の表れなんですよ。『THE OMNIGOD』のストーリーというのを、全体を通して感じて欲しいなと思います。
―― 近頃ではバンドのCDもなかなか売れないと思いますけど、ノクブラはパッケージで買ってナンボのバンドですよね。アー写やジャケ写、曲順も含めて、最初から最後まで1枚を楽しむ、というところにこだわっているバンドだと思うので、今のDaichiさんの言葉はそれを象徴しているように思えます。
Daichi ……アルバム、買ってほしいんで!!!!
Masa 貪欲さが出てしまったね(笑)。
Cazqui アルバムの中に「Punch me if you can」っていう曲があって。少なくとも俺は、その曲と「Libra -another scene-」みたいな曲が両方ひとつのアルバムに入っているバンドは知らない(笑)。
尋 そういえば今日、初めてリハーサルで「Punch me if you can」を全員で合わせたんですよ。そうしたら、すごい全員で興奮しちゃって。「超かっけぇー!!」っつって(笑)。
Masa 全員ゴリラみたいになってたもんね(笑)! 強くなった気分になる曲なんですよ(笑)。
Cazqui ヘヴィな音楽に対して「うるさいだけ」とか「どの曲も一緒に聴こえる」といったネガティブなイメージを抱くリスナーの方も多いと思うけど、そういった先入観を取り払うきっかけになるような要素が、このアルバムのどの曲にも必ず入っていると思うので、まずは聴いてほしい。
あとは、曲によってはシネマティックなアプローチによる「非日常的な世界観」が推しどころでもあります。「GENESIS」の前の「『my:Se』raphy」という曲も、古びた映写機の音から始まったり、Daichiが言ってたスイッチ音とかもそうだけど……いわばアルバムの1曲1曲が「NOCTURNAL BLOODLUST」という映画作品のワンシーンなんです。
Natsu 完成版をみんなと一緒に聴いたときの第一印象が、やっぱり俺も映画だったんですよ。あくまで音楽なのに、それってちょっと不思議な話で。家帰ってから何回もひとりで聴いたんだけど、風景とか情景がどんどん浮かんできて……尋の声の出し方や、曲の内容や展開で曲と曲が繋がってたりとか。音で映像を楽しむエンターテインメントを作れたんじゃないかな? と思っています。