人気の青春漫画家・浅野いにお氏が描き下ろしたイラストがアニメーション化されたTVCMが、1月10日より公開されています。「マイナビ賃貸」のTVCMで、「2人暮らし物件」に住むカップル、「駅近物件」に住む1人暮らし男性、「ペット可物件」に愛犬と住む女性など、様々な20代の生活模様が描かれています。浅野氏ファン必見のTVCMと言えるでしょう。

 

浅野氏の代表作は『ソラニン』や『おやすみプンプン』『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』。どれもお洒落な作風と言われる浅野氏らしい作品となっています。しかし、そんな浅野氏の作品の作り方の根底に「反発心」があったのをご存知でしょうか。

書籍『「メジャー」を生み出す』の著者であり作家の堀田純司氏との対談で、その驚きの制作方法が明らかになっています。同書を開くと、皆さんの抱いているスタイリッシュな浅野氏とは違った一面が見えてくるかもしれません。
 

「反発が自分のモチベーションになってきた」

まずは、浅野氏自身が自らを表現するとこのようになります。

「僕も性格はわりと反抗的な人間でもあったはずで。20歳ぐらいの時とかは、それこそ尾崎豊的にイメージの大人に対して対抗心をかきたてて、それをモチベーションにやっていたところはありました。(中略)反発が自分のモチベーションになってきたので、“描くためにとにかく敵を探しまくる”とか、そういう風になっているとことはあるんです」(同書より)

敵をつくることが浅野氏の根底にあるようです。そういった作り方はいいかげんにやめようとも思うそうですが、「それ以外の物のつくり方を知らないので」と、現在もその方法は続いている様子。
 

徹底的に「エゴサーチ」を行った浅野氏

そんな浅野氏が『おやすみプンプン』を描いている時の敵は“ネットの書き込み”でした。ネットの世界では、「お洒落な人」には、どんなに攻撃しても構わないといった風潮があります。浅野氏は一般的にはお洒落とされる人。その作風もまたお洒落な仕上がりとなっているので、ネットとの相性は良くないことが想像できます。

ですので、不用意にネットの書き込みなどをのぞき込むと、心に致命傷を受ける可能性もあるのです。ある芸能事務所では、所属タレントに匿名掲示板を見ることを禁止していることもあるそうですが、表現者の気持ちを考えるとそれは当然のこと。

ですが、そこにあえて飛び込み、とことんのぞき込み、糧にしていたのが浅野氏なのです。24時間、自分の名前を検索する「エゴサーチ」を行い、徹底的に誹謗中傷と向き合ったのです。

なぜ、そのような手段をとったのでしょうか。その理由が同書で紹介されています。