ビックカメラは2026年3月14日に、池袋西口に誕生する新たな複合ビル「IT tower TOKYO」(東京都豊島区)の2~4階に「ライフスタイルと家電の発信拠点」をコンセプトとした新たな店舗をオープンする。「IT tower TOKYO」の商業エリア(低層階)にはオーガニックスーパーやカフェ、シェアオフィスなどの出店も決定。池袋エリア初出店の店も多く、かつて「池袋マルイ」があった駅直結の立地に新たなランドマークが誕生する。

池袋といえば、東口のアニメイト池袋本店やサンシャインシティを中心とする「サブカルのまち」あるいは「パルコ・ルミネのまち」という印象が強いが、今年はいよいよヨドバシカメラが出店するとみられており、「家電のまち」と紹介されるシーンが飛躍的に増えると予想されている。そこで今回は、「家電のまち」を仕掛けた3社のこれまでの動きを改めて紹介しよう。

池袋はファミリー層をターゲットとした「家電のまち」に?

まず、池袋駅周辺のエリア特性を説明しよう。4社8路線が乗り入れる池袋駅は大きく「東口」と「西口」に分かれ、両エリアの円滑な行き来が課題となっている。

既報の通り、当時セブン&アイグループ傘下だったそごう・西武の事業譲渡にからみ、家電量販店「ヨドバシカメラ」などを運営するヨドバシホールディングスがそごう・西武が運営する百貨店「西武池袋本店」の建物と土地の一部を購入。24年9月1日から8階レストランフロア「ダイニングパーク池袋」など一部フロアと駐車場の運営主体が切り替わり、建物名は「ヨドバシHD池袋ビル」に変わった。

まずは西武池袋本店の改装工事が進められ、25年7月、3階コスメティックフロアが先行してリニューアルオープン。1階~6階も11月28日から順次リニューアルオープンしている。人気の「デパ地下」も9月に復活(生鮮・酒は26年春以降オープン予定)。特に新設の「BENTOステーション」は西武鉄道の地下1階改札近くという立地もあり、利便性は抜群だ。

駅前広場と明治通りを挟み、この西武池袋本店の向かいの位置にあるのが、ヤマダデンキの「LABI池袋本店」だ。ヨドバシカメラの出店を見越し、家電販売に特化し、25年9月12日にリニューアルオープン。圧倒的な品ぞろえの体感型店舗と位置づける。

ビックカメラの「ビックカメラ池袋本店」も、対ヨドバシを見据えて25年11月14日にリニューアルオープンした。「宝探しの様なワクワク感あふれる」をコンセプトに、池袋 カメラ・パソコン館、池袋西口店も同時にリニューアル。さらに、ビックカメラのオリジナルソングによるJR山手線「池袋駅」発車メロディーに続き、駅名標を「池袋(ビックカメラ前)」とする新たな取り組みも開始した。

一方、反対側の西口エリアの家電量販店は、現在は「東武百貨店 池袋店」4階の「ノジマ 池袋東武店」のみだが、前述の通り、「(仮称)ビックカメラ IT tower TOKYO店」が3月にオープン予定のため、将来的には2店舗に増える。ノジマは昔ながらの「相談できる街の電気屋さん」を目指しており、同社サイトの「家電小ネタ帳」によると、池袋エリア近隣店舗の価格を徹底調査しているという。

「競争」と「化学反応」に期待

SNSでは「池袋駅は分かりにくい」と不満の声がよく上がっている。最大の理由は、東口に西武池袋本店(西武池袋)と西武池袋線の改札、西口に東武百貨店 池袋店(東武池袋)と東武東上線の改札があり、東西南北の方向と名称が一致していないためである。

鉄道各社の公表データによると、24年度の池袋駅の1日平均乗降人員は、JR東日本が約100万人(乗車人員約50万人)、西武池袋線が約43万人、東武東上線が約42万人、東京メトロが丸ノ内線・有楽町線・副都心線をあわせて約52万人。東武百貨店周辺の賑わいから、私鉄では東武東上線の利用者が圧倒的に多いように感じていたが、実際には3路線を抱える東京メトロが最多で、西武鉄道と東武鉄道はほぼ拮抗している。

つまり、池袋駅東口直結こそ最も好立地という分析は、あくまで西武池袋線ユーザーにとっての話であり、JR線や東武東上線ユーザー、自動車や自転車での訪問者にとってはそれほど差はないといえる。ただし、LABI池袋本店とビックカメラ池袋本店は自前の駐車場がなく、むしろそこが弱みかもしれない。最新の「IT tower TOKYO」はもちろん駐車場完備(90台)だ。

25年秋に相次いだLABI池袋本店、ビックカメラ池袋本店の大規模リニューアルは、ブランドイメージ向上や自社ECの利用促進を兼ねた動きだとみている。実際に店頭で試して納得して買いたい、同じ商品なら少しでも安く、同じ価格ならちょっとでもいいものを買いたい、イベントに参加して得した気分になってから買いたい―。そうしたニーズに応える場所として、家電のまち・池袋は、これまでにない新しい化学反応が起きるのではないか。PCなどのデジタル製品に欠かせないパーツであるメモリーの高騰は確実に各社の戦略に影響を及ぼしそうだが、実りのある競争を期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)