対象期間(2026年1月~27年3月末)に生まれた新生児1人につき合計13万円(既存10万円+追加3万円)を支給する

【家電コンサルのお得な話・279】 東京都は、実施中の「赤ちゃんファースト」に加え、新たに3万円分を上乗せする取り組み「赤ちゃんファースト+(プラス)」を発表した。現行の赤ちゃんファーストは、都内で出生した子どもを対象に、育児用品や子育て支援サービスなどから選べる10万円相当のギフトカードを提供する都独自の制度で、都民からは、出産直後の家庭に対する実務的な支援として一定の評価を受けてきた。

対象期間に生まれた子ども1人につき従来プラス3万円の13万円を支給!

今回の「赤ちゃんファーストプラス」は、補正予算によって既存の制度に3万円分を追加するもので、対象期間(2026年1月~27年3月末)に生まれた新生児1人につき合計13万円(既存10万円+追加3万円)を支給する。発表内容を見る限り、国の交付金を活用した期間限定の措置であり、所得制限はない。

東京都の補正予算全体の中では24億円規模とされており、物価高騰の影響を受ける家庭への負担軽減策として位置づけられている。制度設計としてはシンプルで、既存の赤ちゃんファーストの仕組みを活用するため、行政コストを抑えつつ迅速に実施できる点が特徴である。

資料を見ると、子育て世帯への負担軽減策に加え、物価高対策として位置づけられている施策と受け取れる。とはいえ、物価高の影響で支払い額が上昇しているのは、子育て関連の一時的な支出だけではなく、食料品価格の上昇や住居費、光熱費といった日常生活の基盤のほぼすべてである。

例えばコメ価格の高騰一つを取っても、こうなると、給付金でしのぐのではなく、供給構造そのものを見直す政策、すなわち増反政策などを含めた根本的な対策が求められる局面にあるだろう。今回のように、個別の給付を積み重ねるだけでは、負担の重さは解消されず、結果として将来不安が残り続けてしまう。

だからこそ重要なのは、都政全体で、予算配分を再検証することである。限られた財源の中で、不透明な支出を見直し、生活の基盤そのものを下支えする施策へと大胆に振り向けていく視点がなければ、子育て世代の経済的な苦しさは変わらない。

その結果、将来への展望を描けない家庭が増えれば、少子化が一層進むことになる。赤ちゃんファーストプラスは、その現実を改めて突きつける施策として捉える必要があるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。