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NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)と共に天下統一を成し遂げるまでの奇跡を描く物語だ。1月11日に放送された第2回「願いの鐘」では、一度は故郷の村に戻った小一郎が侍になる覚悟を決める姿が描かれた。
その中で印象的だったのは、小一郎が侍になる決断を下すにあたって、藤吉郎だけでなく、母・なか(坂井真紀)、姉・とも(宮澤エマ)、妹・あさひ(倉沢杏菜)といった家族の後押しがあったことだ。
大河ドラマで武家社会を描く際、ひとつのポイントになるのが女性の扱い方だ。武家社会は男性中心で物事が進むため、ともすると女性の存在感が希薄になりがちだ。そのため、女性キャラの描き方は知恵の絞りどころになる。その点、本作では小一郎が武士でなく、農民ということもあり、第1回から仲むつまじい家族の姿が描かれていた。たびたび野盗の襲撃を受けるなど、戦国時代ならではの過酷な描写が続く中、温かく朗らかな小一郎の家族の姿に、見ているこちらも救われた。
とはいえ、これまで豊臣家が登場する大河ドラマで何度も描かれてきたように、戦国の世の常として、武士として出世した秀吉は後々、母や姉・妹たちを政治の道具として利用することになる。この回、小一郎の旅立ちを明るく見送った女性陣にも、一筋縄ではいかない波乱の生涯が待ち受けている。そのとき、小一郎はいかに立ち回り、どのようなドラマが繰り広げられるのだろうか。
発売中のガイドブック「NHK大河ドラマ・ガイド 豊臣兄弟! 前編」(NHK出版)のインタビューによると、「子どもたちが出世していくのはうれしいけれど、同時に心配ごとも増えるはず」(坂井)、「兄弟の出世によってよくも悪くも暮らしが変わっていく中で、このファミリーのポジティブさが救いになっていくような気もしています」(宮澤)と語っており、序盤の仲むつまじい姿が、きっと後々、伏線として効果を発揮するはずだ。
そしてもう一人、小一郎にとって欠かせない女性が直(白石聖)だ。幼なじみで初恋の相手という事もあり、第1回から小一郎の背中を押し、家から外に飛び出す原動力となっていた。最終的にこの回、侍になると決意した小一郎から「わしのそばにいてくれ」と求められた直は、一緒に村を出る。つかず離れずの絶妙な距離感から初々しさ漂う2人がこの後、どのように関係を深めていくのか、注目したい。
一方、藤吉郎にも欠かせない女性がいる。それが寧々だ。今のところ藤吉郎に目を掛ける織田家家臣・浅野長勝(宮川一朗太)の娘という関係に過ぎないが、いずれ藤吉郎と夫婦になる寧々がこの後、どのようなドラマを織りなし、小一郎とどう関わってくるのか、気になるところだ。寧々役の浜辺美波は、藤吉郎役の池松とは『シン・仮面ライダー』(23)でも共演しているが、2人ともその面影を感じさせない芝居はさすがというほかない。
そして、この回初登場となったのが、織田信長(小栗旬)の妹・市だ。ご存じの通り、市はやがて浅井長政(中島歩)の妻となり、茶々、初、江の”浅井三姉妹“を産む。波乱の生涯をたどり、豊臣兄弟の天下取りにも関わる市を演じるのは、「篤姫」(08)で主演を務めた宮崎あおい。宮崎は前述のガイドブックのインタビューでは「本当の兄弟のように仲がいい仲野太賀さんと池松壮亮さんが作り出す雰囲気から引き出される部分も多いですね」と語っており、豊臣兄弟との共演に期待が高まる。
豊臣兄弟を始めとする武将たちだけでなく、魅力的なキャストがそろった女性陣もきっと、今後の物語を盛り上げてくれるに違いない。また、今のところキャストが公表されていない信長の正室・濃姫は、どのように扱われるのだろうか。そんなところにも注目しながら、これからの物語の行方を見守っていきたい。
(井上健一)







