芝原航執行役員に話を聞いた

【主要メーカーに聞くワイヤレススピーカーの次世代サウンド・3】ワイヤレススピーカーは、キッチンやバスルーム、寝室、キャンプやダンス練習、ワークシーンまで、使われる場所や目的が一気に広がりました。市場では「コスパ帯」と「プレミアム帯」の二極化が進みつつ、防塵・防水や長時間再生などの基本性能、複数台の連携やAIの活用といった付加価値が求められています。そこで、アンカー・ジャパンの芝原航・執行役員/事業戦略本部長に、2026年の最新トレンドを聞きました。(BCN・佐相 彰彦)

利用シーンは屋内外でさまざま、広がるポータビリティ

(以下、敬称略) かつては「リビングのBGM」という使い方が中心でしたが、今はキッチンやバスルーム、寝室といった家のすみずみ、そしてキャンプやダンスの練習、仕事用まで用途が大きく広がっています。防塵・防水、長時間再生のニーズは高まっていて、屋内外どちらでも同じように使えるポータビリティが前提になってきています。

日本はコンパクトさの重視度が非常に高いです。限られた住空間や公共交通機関での移動が背景にあり、家に置いても外に持ち出しても様になる「イン・アウト両用デザイン」が好まれます。屋外に特化した大型の派手なモデルよりも、普段は室内に置けるサイズ感や佇まいが支持されやすいですね。

1万円前後がボリュームゾーンだといえます。理由はシンプルで、気兼ねなく持ち運べて日常的に使いやすい価格であるためです。加えて、当社はモバイルバッテリーの開発で培ったバッテリー技術をスピーカーにも応用しているので、コンパクトでも長時間再生・必要十分な音量と音質を実現しています。例えば「Soundcoreブランド」の1万円以下のモデルですと手軽に購入できてキッチンや寝室、風呂場などで使われており、「ちょうどいい相棒」として選ばれています。

空間オーディオを含む音質の高さ、置くだけで絵になるデザイン性、そして拡張性(複数台連携や映像との統合)などのニーズが高いといえます。プロジェクターやテレビとワイヤレス接続して、配線の手間なくホームシアター環境をつくる需要が伸びています。スピーカー単体の音質の良さだけでなく、空間体験としての総合値が問われているということです。

ノイズリダクションなど、音質制御にAIを使うことを開発部門が検討中で、家で手軽にカラオケが楽しめるようボーカル除去(カラオケ最適化)を行うパーティースピーカーなどはすでに販売しており、評価を得ています。ただ、いずれも楽しみ方を広げるための機能で、主役はあくまで「音」というスタンスです。

2台同時の音楽再生はもちろん、複数台の同時接続といったニーズは着実に伸びています。イベントやパーティーでは、ワイヤレスで多数のスピーカーを連携させるシーンも想定され、家庭内でもプロジェクターやテレビ、スピーカーをワイヤレスで接続したホームシアター環境が注目度を増しています。そういった意味では今後のオーディオ体験を考える上で重要なポイントだと捉えています。

防塵・防水に加えて海水対応や「水に浮く」など、さらに過酷な環境に焦点を当てた特化型モデルも展開しています。一方、日本では家に置いたときのデザイン性も重視される傾向があります。アウトドア寄りになり過ぎるのではなく、インドア・アウトドア両方のバランスを、さらに意識していきます。

誰でも使いやすいベーシックなモデルの進化を続けながら、特定の利用シーンやニーズに深く応える特化型モデルも並行して検討しています。ワイヤレス接続を生かしたオーディオ体験の拡張や、AIによる音質の最適化なども今後さらに一般化していくでしょう。日本では「コンパクトさ×長時間再生×十分な音質」という凝縮された高い性能への期待が高く、お客様のニーズに引き続き応えていきます。

リビングだけでなく、キッチンや寝室、キャンプなどのアウトドアまで見据えるのであれば、「コンパクトさ」「長時間再生」「防塵・防水性能」といった条件が自然に決まってきます。もし、2台目を追加してペア再生や複数台での再生を楽しみたい場合は、そうした機能に対応した製品を選ぶことも一つのポイントです。「どこで、何を、どう楽しみたいか」、これを決めるのが一番の近道だといえます。