猫との暮らしには、猫とのコミュニケーションが欠かせません。言うなれば「ネコミュニケーション」です。しかし、誰に習うものでもないため、往々にして自己流の「ネコミュニケーション」に陥りがち。猫との関係性を向上させるべく、「ネコミュニケーション」のコツを専門家の書籍から探ってみることにしました。
 

参考文献は、猫専門動物病院の院長による「猫本」

今回、ネコミュニケーションの理解に関する参考としたのは、服部幸氏の著書『ネコの本音の話をしよう』(ワニブックス)。服部さんは、東京猫医療センターの院長を務める獣医師。人間から見た「理想の猫」という視点ではなく、猫主観・目線での幸せな暮らしを送るために必要な考え方や世話の方法を、多くの著作で提起しています。

さっそく、わが家の猫、三毛猫記者とシマシマ記者との関係性をよりよいものにするためのヒントを、参考文献のなかから探してみると致しましょう。

 

猫にしつけは不要!?「矯正」よりも「誘導」

「猫は気まぐれ」などといいますが、行動を観察していると、やりたいことをやりたいようにやっているわけではなく、その時々に応じて最適な方法を選ぶなり、猫なりの合理性を持って行動しているというのは、猫と暮らす人であれば、少し伝わるのではないかと思います。例えば、トイレの粗相であれば「そこで用を足すのが一番安心」だったり、何度も呼ぶのも「(猫自身ではなく人間の)遊びが足りない」と思っていたりする、と見受けられるわけです。

その際、犬や子どもに行うように「しつけ」をするのは、ちょっと立ち止まって考えるほうがいいそうです。「しつけることより『幸せな過ごし方』を考える」という一節では次のように書かれています。

猫と暮らす飼い主さんの心得として、3つ挙げることができます。
1 ネコがいやがることはしない。
2 自分がされて困ることは、されないように工夫をする。
3 問題が生じないように、予防を考える。
(『ネコの本音の話をしよう』P172より)

少なくとも、意地悪をしようとは思っていない(はず)ですから、意地悪に見えるイタズラや行動も「なぜそうせざるを得なかったのか?」と考えて、その問題行動が生じないように、予防策を講じるほうが、猫との生活を続けるうえでは効果的だそうです。猫のみならず、人間との生活にも通じそうな話ですね。