著者の先生に聞いてみた!
ネコミュニケーションを考えるうえで、気になったのが「猫にとっての幸せな環境とは」なにか、という点。自然のままが一番、と考える向きもありますが、人間に近い環境で暮らす猫にとっての自然とはいったいなんなのでしょうか。そのあたりを、服部先生に伺ってみました。
Q:猫(イエネコ)にとっての「自然な環境」は、どんなものと考えていますか?
A:何をもって「自然」と定義するかは難しいものです。「人間の手の入らない環境=自然」というのであれば、そもそも人と暮らしていることが自然ではありません。ただ、その「自然な環境」が、猫にとってベストの環境であるかどうかは別です。実際に野良猫や「外猫」が暮らしている「外」には伝染病や交通事故、動物虐待のリスクがあり外猫の平均寿命は室内飼育の猫と比べて著しく短いことが現状です。室内で一緒に暮らすことで猫がより幸せで長生きできるのだと思います。
そんななか、室内で人間と一緒に暮らすうえで、できるだけ猫にとってストレスがない生活を心がけることが必要といえるでしょう。
服部先生が院長を務める「東京猫医療センター」は、「猫ちゃんの健康と幸せを第一に考えた病院を目指し、病気の予防や治療に来ていただいたのに、病院そのものがストレスになってしまわないような病院を作りたい」との思いから生まれたそうで、「猫と犬は同じように見えて違う生き物で、なりやすい病気や体の作りもまったく異なります」と語る服部先生。犬の鳴き声やニオイが、猫へのストレス要因にならぬよう配慮されている、猫だけを診療する専門の動物病院。
先生も、猫とともに暮らしているそうで、こんな「猫にしつけられた」エピソードも教えてもらいました。
「普段は、わが家やリビングとその奥の部屋の扉は閉まっています。奥の部屋に行きたいというときは扉の前で『にゃー』と鳴いて『扉を開けろ』と喋ってきます。最初は何を訴えているかは分かりませんでしたが、最近は鳴くと、すぐに扉を開けに行かされます....」
「いまのままでも十分なんだけど、もっと猫と上手にコミュニケーションが取れたら…」と感じたことがあるなら、
・「しつけ」ではなく、猫がそう行動できるように「誘導」する
・猫の生活は、人間の生活に左右される。まずは自分の生活を規則正しく健康に
・遊びは「狩り」の代わり。短時間で思いっきり遊ぶ
これらの3つのポイントを念頭においてみると、「ネコミュニケーション」力がアップできるかもしれません。