(C)TBSスパークル/TBS

 TBS系で毎週火曜日の午後10時から放送中の火曜ドラマ「未来のムスコ」が、24日に最終話を迎える。本作は、夢も仕事も崖っぷちのアラサー女性・汐川未来(志田未来)のもとに、“未来のムスコ”だと名乗る颯太(天野優)が現れたことから始まる、時を超えたラブストーリー。最終話を前に、天宮沙恵子プロデューサーに話を聞いた。


-最初に、原作の魅力とそのドラマ化について伺います。


 まず、設定の大胆さにひかれました。でも、未来から来た息子というファンタジックな入り口でありながら、描かれていることはすごく地に足が着いているし、共感できるものでした。今頑張っていることは本当に未来につながっているのかという、漠然とした不安を抱えながら生きている人々の感情や苦しさがすごく丁寧に描かれていたので、それを夢物語にしないで、きちんと描いていきたいと思ってドラマ化を決めました。


-これまでに寄せられた視聴者の皆さんの反響ついてはいかがですか。


 本作は、タイムスリップものであり、劇団員が出てきたりして、視聴者の方々の身近なものとはちょっと離れた世界という設定なので、そこを皆さんがどのように受け入れてくださるのか、正直なところ不安もありましたが、われわれ制作陣としましては、入り口はファンタジーですけど、ちゃんと皆さんに届けられる作品にしたいというのが目標の一つでした。SNSなどを見ていますと、例えば、自分もこんなふうに子育てをしていたというお母さんたちのお声だったり、20代の女性の方が、もし自分の所に急に未来から子どもが来たらどうするのだろうと、主人公の未来に感情移入しながら見ていただけている様子などが届いています。


-これまでの放送を振り返っての思いを。


 視聴者の皆さんが、主人公に共感しながら見ていただけているのを、とてもうれしく思っています。第1話で「こんな大人になるはずじゃなかったのに…」というせりふがありましたが、結構そこにグッとこられた方が多かったようです。それでも、昨日よりはちょっと前に進むこと。大きな奇跡は起こらなくても、ほんの少し勇気を出したり、自分の思っていることをきちんと伝えたり、そういう小さな一歩の積み重ねが、未来を少しずつ変えていけるのではないかということを、この作品を通して伝えていきたいと思っていたので、皆さんの背中を少しでも押せて、明日からもうちょっと頑張ろうという気持ちになっていただけるような作品になっていたらと思っています。第1話を見て共感した方が、全話を通して少しでも前に進めたらいいと思います。また、「誰がまーくんなんだ」というところで、皆さんの“推しまーくん”がいると思いますが、それぞれのまーくんがすごく魅力的に描けていると思うので、どのまーくんも皆さんに愛されていたらうれしく思います。


-主演の志田未来さんの演技を見て感じたことを。


 もちろん芝居がお上手だというのはよく分かっていて、未来から来た息子を育てるというファンタジーに、説得力を持たせてくれるお芝居をしてくれると期待していましたが、第1話の自販機前でのワンカット長回しのシーンで、俳優・志田未来さんの底力が見えました。あそこで視聴者の皆さんが未来に感情移入できたのではないかと感じました。現場で見ているスタッフが、カメラを回しながら涙するぐらいの圧巻の演技でした。


 ドラマでは、(天野)優くんが演じる颯太と、最初は距離感のあるところから徐々に親子になっていく様子を見せていますが、撮影は順撮りではなかったので、距離感のあるシーンや、もうしっかり親子としての形ができたシーンを、ごちゃごちゃに撮っていました。でも、そのワンシーンごとに、ちゃんと気持ちを作ってきてくださったので、その辺りはさすがだなと思いました。


 ご自身も子役をやられていたので、優くんとの接し方も、本当のお母さんのようでした。これは駄目だよってちゃんと怒るところは怒って、でもうまくできた時はすごく褒めてあげるという。きっと志田さんもご自分のお母さんにしてもらったようなことを、優くんにもしてくださったようで、撮影中以外でも、優くんの本当のお母さんに見えるような瞬間がありました。主人公と名前が同じというところにも、運命的なものがあったのかなと思います。

-続けて、将生役の塩野瑛久さんについては。


 今までに見たことのない塩野さんを見たいという思いでキャスティングしました。最初は、塩野さんもわれわれも、将生をどういうふうに描いていこうか、結構悩みながら作っていった感じでした。塩野さん自身も「これまであまり演じてこなかったタイプの役なので、どうアプローチしていけばいいのか」と悩まれていたのですが、「とにかく新しい一面が見たいです」とお伝えして。前半ではあえて見えにくかった将生の根にある愛らしさや憎めなさを、物語が進むにつれて少しずつにじませながら、丁寧にキャラクターを作ってくださいました。役作りとしてひげを伸ばしていただくなど、見た目からも泥くささや男性らしさを加えることで、将生という人物により立体感を与えてくださったと感じています。


-優太役の小瀧望さんについては。


 小瀧さんは、一つ前のドラマ(※2025年放送の「小さい頃は、神様がいて」)でもすごく好青年の役を演じられていて。ちょうど小瀧さんがクランクインする直前までその作品を撮られていたので、すごくいい人の役が2作続いた結果、現場に来られた時点ですでに役が出来上がっている感じがしました(笑)。ご本人は「恋愛要素のあるシーンは恥ずかしくて得意じゃない」とおっしゃっていたんですが、3話ではカメラ目線で語りかける“ザ・火曜ドラマ”という感じのドキッとするシーンもあって。ご本人は照れながらもしっかり決めてくださって、すてきなシーンになりました。


-真役の兵頭功海さんについては。


 兵頭さんは、とても勤勉な方で、真の台本での気持ちの流れなどをノートに書いて整理していらっしゃって、「ここはこういう気持ちだと思うんですけど、どう思いますか」というふうに、私や監督に投げかけてきます。常に感謝をしながらお芝居をしてくださるので、この役に込めている思いが伝わってきて、われわれとしても、意見を交わしながらキャラクターを作っていけたので、一緒にお仕事をしていて楽しいと感じました。


 真は、結構ミステリアスだし、言葉数も多くないので、たたずまいや表情で感情を表現しなければならないのは大変だったと思います。兵頭さんご自身は、そういうタイプではなく、朗らかで、よくおしゃべりをする方なので、自分にはない部分を見せなければならない難しさはあったと思いますが、繊細なお芝居でその内面をしっかりと表現していただき、キャラクターの魅力を深めてくださったと感じています。


-では、颯太役の天野優くんについては。


 今回颯太役を決めるに当たって、自然体で愛くるしい子どもらしさを持っている子と出会いたいというのがありました。なので、そのあたりを重視して優くんを選びました。彼は、そういう子どもらしさはありつつも、ちゃんと大人のことは見ているし、聞いているのがすごいと思います。結構泣きの芝居や、感情的になるシーンも多かったのですが、そういうお芝居はちゃんとできるし、ここは自由にやっていいよという時は本当に自由にできるし…。その切り替えのすごさはオーディションでも感じました。とても5歳児とは思えないなと。


 この番組が、連続ドラマのレギュラー出演は初めてで、こんなに長いせりふも初めてでしたが、経験がないとは思えないほど素晴らしくて、よく頑張ってくれたと思います。何もしていない時の顔が本当にかわいいんです。自然に見せる表情が魅力的だと思います。オーディションの時は、「かきくけこ」が「たちつてと」になってしまうのがかわいいと思いましたが、最近はしっかりと「かきくけこ」が言えるようになって。子どもの1年の成長ってすごいんだということを目の当たりにして、ちょっと寂しく思ったりもします。


-最終話に向けて、視聴者の方々へのメッセージを。


 最終話前ということで、衝撃的な展開で幕を下ろした9話に皆さん驚かれたと思いますが、最終話も見どころ満載です。ようやく未来と颯太の間で明かされる真実がありますので、その辺りを期待して見ていただけたらと思いますし、最後まで皆さんの心に温かい話をお届けできると思っておりますので、楽しみに見ていただけたらと思います。


(取材・文/田中雄二)