Google Pixel 9aとGoogle Pixel 10を試してみた

「どっちにするか、スペック表を見ても決められない」。そんな人のために、同じ場所・場面でGoogle Pixel 9aとGoogle Pixel 10をそれぞれ使い続けてみた。価格差は約5万円。その差が実際の暮らしで何を意味するのか、数字ではなく写真と画面で確かめようと思う。※端末協力:ソフトバンク

まず2台を並べてみる

箱から出した瞬間、最初に気づくのはデザインの方向性の違い。Pixel 9aはカメラ部分が背面にすっかり埋め込まれたフラットなデザインで、どの角度から見ても出っ張りがない。机の上に置いてもまったくガタつかず、ポケットやバッグへの収まりも良い。一方のPixel 10は、歴代Pixelでなじみのある横長のカメラバーが復活している。机に置くとバーの分だけわずかに傾く。好みが分かれるところだが、「フラットで持ち歩きやすい方がいい」という人にはPixel 9aのデザインが刺さるかもしれない。

重さはPixel 9aが185.9g、Pixel 10が204gで、約18gの差。数字にすると小さく聞こえるが、実際に両方を持ち比べると、Pixel 9aのほうが手に馴染む軽さを感じた。ベゼル(画面の縁の太さ)はPixel 10のほうが細く、画面の見た目はすっきりしている。どちらも6.3インチで画面サイズは同じだが、ベゼルの細さによって没入感がわずかに違う。

価格を調べてみると、Googleストアでの価格は、Pixel 9a(128GB)が7万9900円、Pixel 10(128GB)が12万8900円で、差額が約5万円。この5万円が実際の生活でどんな差になるのか、使いながら確かめていきたい。

同じ場所でカメラを撮り比べた

2台のカメラ構成はそもそも異なる。Pixel 9aは広角と超広角の2眼カメラ。Pixel 10は、これに5倍光学望遠レンズが加わったトリプルカメラだ。「望遠があるかないか」は、日常のどんな場面に影響するのか。同じ被写体で並べて比べてみた。

まず試したのは、遠くの被写体へのズーム。Pixel 9aにはズームレンズがないため、デジタルズームで引き伸ばすことになる。引き伸ばした写真は輪郭がぼやけ、テキストの細部が読み取りにくい仕上がりだった。Pixel 10は5倍光学ズームを使うことで、ほぼ劣化のない解像感で撮れる。運動会や学校の発表会など、「離れた席から子どもを撮る」という場面を想像すると、この差がどれだけ大きいかが分かる。

一方、近距離撮影では正直なところ差を感じなかった。どちらも色鮮やかで、シャープに仕上がっている。「日常の食事写真やスナップが中心」という使い方であれば、Pixel 9aのカメラで不満を感じる場面はほとんどないだろう。カメラの差は「望遠を使うかどうか」にほぼ集約される。この1点に心当たりがあるかどうかで、判断が変わる。

充電の違いを確かめた

充電まわりを確認したところ、毎日の習慣に直結する部分で差が見られた。Pixel 10はiPhoneのMagSafeに相当する「Pixelsnap」というGoogleのマグネット式ワイヤレス充電に対応している。充電器を背面に近づけると磁石でパチッと固定され、ずれる心配がない。ワイヤレス充電の速度もPixel 9aの最大7.5Wに対して、Pixel 10は最大15Wと2倍。夜、テーブルに置いておけば、あっという間に満充電になる。

Pixel 9aはQi対応のワイヤレス充電に対応していますが、磁石での固定機能はない。充電器やモバイルバッテリーの置き場所によっては位置がずれ、気づいたら充電されていなかった、というストレスが生まれることもある。また、MagSafeアクセサリーとの互換性もなく、iPhoneユーザーがすでに持っているMagSafe充電器はPixel 9aでは使うことができない。

なお、有線充電の最大出力は、Pixel 9aが23W。Pixel 10は30W以上のPPS充電器を使うことで高速充電に対応しており、約30分で最大55%まで充電できる。ただし、高速充電のアダプターはどちらも別売り。Pixelsnap充電器も別売りのため、PixelsnapやMagSafeアクセサリーを使いたい場合は、本体価格に加えてアクセサリー代も見込んでおく必要がある。

AIの差を、画面で見た

「消しゴムマジック」「文字起こし」「かこって検索」「Geminiの基本機能」など、PixelらしいAI機能は両機種ともに使える。「よく使われるAI機能のほとんどは9aでも使える」という前提の上で、Pixel 10にだけ搭載されている機能を紹介する。

一つめが「マイボイス通訳」。通話中にリアルタイムで言語を翻訳してくれる機能で、例えば日本語で話すと英語に変換されて相手に届き、相手の英語は日本語に変換されて自分の耳に届く。単に翻訳するだけでなく、話者の声のトーンや抑揚を模した音声で届けるのが特徴だ。翻訳内容は音声だけでなく、通話画面にテキストとしても流れるため、聞き逃した内容を目で追える。

処理は全てスマホ内で完結するため、会話内容が外部サーバーに送信されることはない。海外のホテルやレストランへの電話、外国語を話す仕事の相手との連絡など、会話の壁がある通話に使える。なお、日本語対応は現在プレビュー版のため翻訳精度にばらつきがあり、大事な内容は必ず確認が必要だ。

二つめが「カメラコーチ」。カメラを起動して被写体に向けると、GeminiがそのシーンをAIで解析し、より良い構図や撮影モードをガイドしてくれる。画面に表示される矢印や枠に従ってスマホの向きや距離を調整するだけで、「それっぽい1枚」に近づけることができる。カメラの設定を覚えたり、構図を考えたりするのが苦手な人ほど、使い始めてすぐに効果を感じやすい機能だ。

使ってみて「差がなかった」こと

5万円の差を正直に伝えるため、差が出なかった部分についても伝えたい。

電池持ちは、どちらも1日中使って余裕があった。公称値はどちらも30時間以上で、実際に使っていても朝から夜まで充電を気にする場面はほとんどなかった。防水性能もどちらもIP68で、雨の日でも水回りでも安心して使える。画面は両方とも6.3インチで解像度とリフレッシュレートが同じ。動画の滑らかさやスクロールの感触もほぼ変わらなかった。

「SNSを見る」「地図で道を調べる」「動画を観る」といった日常の使い方では、2台の差を体感することはほとんどない。OSのセキュリティーアップデートはどちらも7年間の提供が保証されており、長く使い続けたいという目的においても対等だ。

あなたはどっち?

使ってみて分かったのは、この2台の差は「何をよく使うか」によって全く異なるということだ。

Pixel 9aが向いているのは、写真はSNSや日常スナップが中心で、遠くの被写体を撮る場面がほとんどない人。充電はケーブルでも特に不満がなく、外国語で電話する機会もほぼない。スマホに最先端の機能より「長く・安心して使えること」を求めているなら、Pixel 9aは非常にバランスの良い選択だ。価格の安さもあり、キャリア各社では乗り換え時に大幅な割引が適用されているケースが多く、実質負担額がかなり抑えられる。

Pixel 10が向いているのは、運動会や旅行など「離れた場所から人を撮る」機会がある人、外国語での通話に不安を感じている人、ワイヤレス充電をもっと快適に使いたい人。AIをもっと積極的に日常に取り込みたい、2~3年先も最新機能を手元に置いておきたいという人にとっても価値があるといえる。

価格差の正体は?

2台を使い続けて分かったのは、この価格差の中身は三つに集約できる。「遠くから人や景色をきれいに撮りたいか」「外国語の電話を楽にこなしたいか」「ワイヤレス充電を毎日の習慣にしたいか」。この三つに一つでも使う場面が思い浮かぶなら、Pixel 10を購入する価値がある。三つとも「特にないかな」と思った人には、Pixel 9aを選ぶのがいいだろう。(マイカ・秋葉 けんた)

秋葉 けんた

編集プロダクション「マイカ」に所属するITライター。セキュリティーやクラウド、AI、家電やガジェットなど、Webサイトや書籍、雑誌、新聞など、さまざまな媒体で豊富な執筆実績がある。大手IT企業やコンサルティング会社のオウンドメディア制作に携わっている。