未接種理由の知識不足・迷いに着目し、家庭でのコミュニケーション創出から正しい情報へ導く

一般社団法人 日本がん・生殖医療学会(神奈川県横浜市、理事長:高井 泰)は、(株)三菱UFJフィナンシャル・グループの支援のもと、世界予防接種週間(World Immunization Week)が始まる4月24日(金)より、子宮頸がんなどを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種率向上を目指した教育現場配付プリント&ムービー『予防接種の記憶』を公式サイト「いまある命も みらいの命も がんから守る プロジェクト」にて公開いたしました。教育関係者はもちろん、どなたでもダウンロード・ご視聴いただけます。こちらのコンテンツは、和歌山県立医科大学が地元の中学校で実施する啓発授業でも配付予定です。










HPVワクチンに関する家庭でのコミュニケーション促進を目的とした啓発コンテンツ
日本がん・生殖医療学会は、「各生まれ年度のHPVワクチン累積接種率」がキャッチアップ接種を含めて50%前後まで上昇した日本の現状を踏まえながら、世界の国々が達成している80~90%というより高い接種率を目指してワクチンの普及速度を加速させたいと考え、厚生労働省が標準的な接種期間とする中学1年生と保護者向けに本コンテンツを開発しました。



HPVワクチン未接種の背景に見えてきた接種対象者および保護者の「知識・判断材料の不足」という理由や、接種に関して「相談できる相手」の重要性に着目し、まずは家庭内で自然に会話を始められるきっかけとなり、そして、その会話を入口にHPVワクチンの正しい知識に触れていただけるプリント・ムービーを制作しました。

【コンテンツのDL・視聴はこちらから】
日本がん・生殖医療学会 × 三菱UFJフィナンシャル・グループ
「いまある命も みらいの命も がんから守る プロジェクト」
DLページ:
https://www.j-sfp.org/project/hpv_vaccine_awareness/
動画:https://youtu.be/F-1I5POA1Zw





未接種理由には「正しい知識・判断材料の不足」があり、「相談できる相手」も重要な要素
HPVワクチンは先述の累積接種率が上昇傾向にあるように、その必要性が広く伝わりつつありますが、ほかの定期接種に比べると未接種者はまだ多く、定期接種世代の小学6年生~高校1年生の女性の母親に代理回答をしてもらった調査データによると、未接種の主な理由として副反応・成分への「不安」が挙げられています。ただ一方で、接種開始時期にあたる小学6年生~中学1年生では、「周囲に接種している人がいないから」「ワクチンの効果がよくわからないから」「ワクチンに対する知識が不足しているから」などの回答も上位に来ており、こうした「よくわからない」という状況も、「判断できない」「決めきれない」といった迷いにつながっている可能性があります。



また、この接種開始時期にあたる小学6年生~中学1年生という年齢においては、接種の判断は本人だけで完結するものではありません。それにもかかわらず、同調査内の「HPVワクチン接種について相談した相手」の当該年齢の回答に注目すると、過半数が「誰にも相談していない」と答えており、その中には「相談できていない人」も含まれていることが推察されます。次に多い回答が「母親」であることを鑑みると、母親をはじめとする保護者と会話・相談がしやすい状況を生みだすことも重要で、それが接種の意思決定にかかわる要素となりうると考えられるのです。



以上より、HPVワクチン接種率向上のためには、接種対象者本人と保護者がいっしょに正しい情報に触れてもらうことが大切であるという大前提とともに、自治体・団体などからの現状の発信だけではなかなかターゲットに情報が届いていないという課題も見えてきました。このことから、正しい知識へと導く前段の部分で本人・保護者の興味を喚起できるコンテンツ、かつ家庭内でHPVワクチンに関するコミュニケーションまで創出できるコンテンツが必要だと考えました。
これまでの『予防接種の記憶』に触れながら、定期接種である「HPVワクチン」の認識へ
本コンテンツが切り口に据えたのは生後2か月以降に推奨されている予防接種(定期接種)全体の「記憶」です。他の定期接種は、さほど「判断への迷い」を抱かずに多くの人が接種してきている実態を前提に、HPVワクチンもその流れの一つであり、しかも標準接種スケジュールの場合、HPVワクチン接種によって小児期定期接種が完了するという事実を印象的に伝えます。メッセージするターゲットは中学1年生のお子様と保護者です。



















HPVワクチンも乳幼児期の定期接種同様に接種検討していただきたいという狙いのもと、「予防接種の記憶」をテーマにしたムービーの視聴から入って、「母子健康手帳」を想起させるデザインを施したプリント表面の簡単なワークへ進んでいただく構成となっています。忙しない接種スケジュールをこなしていた日々を思い出して「うちも同じだったな」と保護者の方に共感していただくこと、自分自身はあまり覚えていない日々について「そんな風に予防接種していたんだ」とお子様に気づいていただくこと、それぞれの気持ちの醸成をスタートラインとし、そこから家庭でのコミュニケーションへとつなげていきます。





自分たち自身の「予防接種の記憶」をエピソードとして語り合うワークのラストで、「HPVワクチン」というテーマへ誘引することでHPVワクチン接種に関しての会話を自然と生み出し、興味を喚起する設計です。


そして、これらのコンテンツの最後にお読みいただくプリント裏面には、HPVワクチンについて知っていただきたい正しい情報をコンパクトに分かりやすく記載しています。

本コンテンツは、接種の必要性や研究の状況、施策の説明といった一見難しい情報を前面に押し出すのではなく、まずは 「本人・保護者ともに HPV ワクチンに関連する情報に興味をもってもらうこと」「家庭内で HPV ワクチンについて話せる状況を整えること」 を優先し、その先に必要な知識・情報に触れられる導線設計をしております。




■ 定期接種としての「HPVワクチン」をご家庭に浸透させるために ■
上田 豊 (和歌山県立医科大学医学部 先進予防・健康医学講座 教授)


日本がん・生殖医療学会
「いまある命も みらいの命も がんから守る プロジェクト」
運営委員



日本では若い女性を中心に子宮頸がんが増加しています。これを効果的に予防できるのがHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンです。海外では、HPVワクチン接種によって、若い女性における子宮頸がんの発生が著明に減少してきています。そして、HPV感染によってがんが起こるのは女性だけではありません。HPVは、多くの人が生涯で一度は感染する可能性がある一般的なウイルスで、子宮頸がん、中咽頭がん、肛門がん、腟がんなどのがんや、尖圭コンジローマ等、多くの病気の発生に関わります。一時期、HPVワクチンは副反応が懸念されていましたが、現在はその安全性が確認されており、「小学校6年~高校1年相当の女子を対象とした定期接種」として推奨されています。ただし定期接種としては新しく、対象者やその保護者にとって知識・判断材料が不足していることも接種率にかかわる課題と捉えています。そのため、教育現場から配付いただく『予防接種の記憶』コンテンツが、ご家庭でコミュニケーションのきっかけとなり、その上で正しい知識に触れるきっかけとなることが接種判断を促すうえで非常に重要だと考えております。

より多くの学校・地域で『予防接種の記憶』をご使用いただくことを目指して
本コンテンツは、今夏、和歌山県立医科大学が地元の中学校で実施する啓発授業で配付することを予定しています。今後はさらに学校・教育委員会・自治体などとの連携を強化し、より多くのHPVワクチン定期接種対象者および保護者に『予防接種の記憶』のプリント・ムービーへ触れていただけるよう、取り組んでまいります。例えば、中学校の入学式、がん教育の授業、いのちの授業などと合わせてご使用くださる教育現場が増えるような働きかけを拡げてゆく予定です。本コンテンツを通じてHPVワクチンについて家庭でのコミュニケーションが活性化するとともに、学校内でも友人などと会話しやすい環境が生まれることで、接種率向上のスピードアップへ貢献できるように尽力してまいります。

■世界予防接種週間とは
「世界予防接種週間」(World Immunization Week)は、予防接種の啓発活動・情報共有などを通じてワクチンの普及を促進する期間です。世界保健機関(WHO)によって毎年4月の最終週に設定されています。ワクチンで予防できる病気から、世界中のより多くの人々を守ることを目的としています。

■HPVワクチンについて
HPVワクチンについての情報をさらに詳しく知りたい方は厚生労働省のホームページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/


■「いまある命も みらいの命も がんから守る プロジェクト」について



日本がん・生殖医療学会では、若年でがんを経験しても将来親になることができるよう、さまざまな支援に取り組んでいます。その一環として、三菱UFJフィナンシャル・グループの支援のもと、日本で増加している女性のがんに関する啓発を目的とした「いまある命も みらいの命も がんから守る プロジェクト」を立ち上げました。小中学生をはじめ、若いうちからのヘルスリテラシーの向上を目指し、AYA世代(15~39歳)で罹患の多い子宮頸がん・乳がんの予防、早期発見、妊孕性温存療法を含むがん・生殖医療について、多くの方々に理解を深めていただけるよう、様々な媒体を通じたプロジェクトを進めています。
https://www.j-sfp.org/project/

これまでの主要取り組み「がん教育」
がん教育は、文部科学省が定める学習指導要領に基づき、小学校は令和2年度から全面実施、中学校は令和3年度、高等学校は令和4年度からそれぞれ必修化されました。子どもの頃から健康と命の大切さについて学び、がんに対する正しい知識やがん患者への理解が育まれる環境を目指して、現在各学校において子どもたちの発達段階に応じたがん教育が実施されています。本プロジェクトでは、このがん教育の授業をサポートするために養護教諭・保健体育教諭などにヒアリングを重ね、教育現場の声を活かしたオリジナル教材を開発・提供しています。
https://www.j-sfp.org/project/project/cancer-education/

1. 知識学習(インプットワーク)
がんに関する基本的な知識が分かりやすく学べる座学用の教材で、「Study01~07」にて構成されております。本プロジェクトとしてお伝えしたい大切な知識をテーマごとにまとめていますが、授業にさける時間や進め方に応じて部分的に抜粋してご活用ください。





2. 体験学習(アウトプットワーク) 『未完成マンガ』
「がんになった登場人物=自分」という仮定のもと、がんになった人物になりきって「自分の心の中」を想像し、相手に「かけられたい言葉」を考えるワークです。授業のねらいは「がんになったときの心の中は、人それぞれであることを知る。」と設定しています。





3. 体験学習(アウトプットワーク) 『ウナガスサミット』
日本の大人たちのがん検診受診率やがんにかかるリスクといった事実をもとに、がん検診を受けられていない“架空の”大人ターゲットに検診をうながす作戦を考えるワークです。授業のねらいは「『がん検診』の重要性を知り、人と共有できるようになる。」と設定しています。







【三菱UFJフィナンシャル・グループから日本がん・生殖医療学会への支援について】
https://www.mufg.jp/profile/brand/message0304/index.html
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