Osmo Pocket 4(左)と2026年4月の販売台数シェア

オズポケ無双がまだまだ止まらない。DJIの新製品「Osmo Pocket 4」が発売直後から爆売れしている。発売は4月22日と、わずか9日間の販売で4月のビデオカメラ販売台数シェア21.5%を獲得。初登場ながら楽々1位をかっさらった。ビデオカメラシェア市場でのDJIのシェアも押し上げ、過去最高の72.5%という驚異的な強さを見せつけた。新製品はビデオカメラ市場全体も活性化。4月の販売台数前年比は158.1%、金額でも135.2%と大幅な伸びを記録している。全国2400店舗の家電量販店やオンラインショップの実売データを集計する、BCNランキングで明らかになった。

4月のビデオカメラ販売台数シェアランキングを見ると、1位が「Osmo Pocket 4」、2位が「Osmo Pocket 3」と、新旧モデルでワンツーフィニッシュを飾った。さらに4位までが全てDJI製品。5位にやっと競合社Insta360の「Insta360 GO Ultra」が入ってくる、という寡占状態だ。この1年のメーカーシェア推移を見てもDJIは、おおむね過半のシェアを維持しつつ、他社と圧倒的な差をつけて悠々とトップを独走してきた。唯一、何とか食らいついていこうとしているのがInsta360だ。DJIと並ぶ中国の新興企業だが、社名の通り360度カメラとアクションカメラで追いかける。他の競合社は軒並み1桁シェアに追いやられた。往年のビデオカメラ市場で覇権を争ったパナソニックやソニーも例外ではない。アクションカメラの代名詞として名をはせたGoProですら1桁シェアに埋没している。

ビデオカメラ市場でDJIをトップに押し上げたのが前作、Osmo Pocket 3。これで市場を完全に塗り替えてしまった。発売は2023年10月。初月こそシェア3位だったものの、翌11月以降この3月まで29か月連続でトップシェアを維持。4月に後進に道を譲った。メーカーシェアではDJIは30か月連続でトップを驀進中だ。Osmo Pocket 4は、約2年半の時を経て登場したユーザー待望の新作。初速の強さは、期待の高さを表している。DJIによると「Osmo Pocket 3に寄せられた要望をもとに新製品に落とし込んだ」という。特徴的な進化ポイントは内蔵ストレージ。本体に107GBのメモリーを内蔵しているため、いざという時に撮り逃しがなくなる。有機ELディスプレーが1000nitsと明るくなり、晴天時の屋外でも視認性が向上した。また、電子ズームと内蔵マイクの指向性が連動するオーディオズーム機能もユニークだ。当面、Osmo Pocket 3も併売するという。

Osmo Pocket 4はいわばマイナーチェンジ版。しかし上位モデル「Osmo Pocket 4P」の発売も控えている。既に公式サイトで公開された製品画像では、上下に並ぶ2つのレンズが特徴的。全く新たな製品だということがわかる。信頼できる情報筋によると、発売時期は6月前後。2つのレンズのうち、一つは1インチセンサーの「Osmo Pocket 4」と同等。もう一つは、1/1.3インチセンサーの中望遠レンズ。35mmカメラ換算で60mm相当の光学3倍ズームを備える。価格は税込みで15万円前後になるのではないか、という。プロのサブカメラ需要やクリエーター、映像やカメラに詳しい層を狙う。一方、競合のInsta360も「Osmo Pocket」シリーズと同様のコンセプトをもつビデオカメラ「Insta360 Luna」を発売する予定だ。4月にラスベガスで開催された「2026 NAB Show」で一部のクリエーターに向け発表。小型ジンバルカメラ市場に参入する。

アクションカメラ市場を切り拓き、かつてこの世の春を謳歌したGoPro。ドローン事業の失敗などもあり、巨額の赤字を計上。2割を超える社員をリストラするなど、厳しい苦境に直面している。近年の新製品は「進化が見られない」「熱暴走問題が解決できていない」などと酷評され続けてきた。しかし、今年の新製品では背水の陣で挑む。新ラインアップとしてプロ向けのMISSION 1 シリーズを発表。いずれも1インチセンサーを搭載し、暗所性能を改善。超小型シネマカメラというジャンルを開拓しようとしている。特にマイクロフォーサーズマウントを採用したMISSION 1 PRO ILSには注目が集まっている。アクションカメラ初のレンズ交換式カメラで、秋にも発売予定だ。アクションカメラのHeroシリーズの新作にも、いよいよ1インチセンサーを搭載するのでは、ともささやかれている。

一旦スマートフォン(スマホ)に奪われたかに見えたビデオカメラ市場。しかし、DJIやInsta360、GoProといった新興メーカー群は、アクションカメラやジンバル付きのOsmo Pocketシリーズを起点に、スマホでは実現できない機能を武器に新たな需要を生み出し続けてきた。一方、日本のカメラメーカーは、動画向けにアレンジした高額なミラーレス一眼をひっさげ、小さなパイに過ぎないハイエンドなプロシューマー市場で、熾烈な食い合いを繰り広げようとしている。果たして市場は、どちらに味方するだろうか。(BCN・道越一郎)