─ 教員不足対策の前提を問い直す、退職者のリアル ─

教員のキャリア支援を行うRe-Career株式会社(本社:東京都、代表:新川 紗世)は、教員を退職した方を対象とした「元教員キャリア実態調査 2026(速報版)」を実施し、全国107名から有効回答を得ました。本調査は、教員不足が深刻化する一方で、「教員を辞めた人がその後どうなっているのか」という退職者本人の声がほとんど整理されてこなかったことを背景に、退職経験者の選択と現在を数字として可視化することを目的としています。
【調査概要】
調査対象:教員(公立・私立、常勤・非常勤を問わず)を退職した経験を持つ方調査方法:Googleフォームによる無記名アンケート(全30問)
調査期間:2026年4月~5月 / 有効回答数:107名
調査主体:Re-Career株式会社
■ 調査の背景
全国で教員不足が深刻化し、政府・自治体レベルで採用拡大、給与・処遇改善、ペーパーティーチャーの掘り起こしなど、「教員確保」のための施策が議論されています。しかし、その議論の前提となるべき「退職した教員はその後どうなっているのか」「彼ら/彼女らは、再び教員に戻りたいと考えているのか」という退職者側のデータは、まとまった形で社会に示されてきませんでした。本調査は、この空白を埋め、退職者本人の声から教員不足の議論を組み直すための基礎データを提供することを目的としています。■ 主な調査結果

【結果1】退職者の76%が「もう一度選べても、また辞める」と回答
退職時期に戻ってもう一度選べるとしたら、と尋ねたところ、75.7%(81名)が「退職する」と回答。「教員を続ける」を選んだ人はわずか4.7%(5名)、「わからない」が19.6%(21名)でした。退職者の大多数が、自身の判断を肯定的に振り返っており、教員職への復帰意向は限定的であることが示されています。

図1:退職時期に戻ってもう一度選べるなら、どうしますか?(n=107)
【結果2】退職について80%が「後悔していない」
「後悔していない」が80.4%(86名)。それに対して「少し後悔・後悔」は合わせても9.3%にとどまりました。20代~50代以上のすべての年代で「後悔していない」が最多回答であり、世代を問わず納得感の高い選択であったことがわかります。
【結果3】年収は78%が「減った」、しかし働き方の満足度は4.5→7.2へ大幅改善
年収については77.6%(83名)が「減った」と回答した一方で、働き方の満足度(10点満点)は教員時代の平均4.5から、現在は7.2へと約1.6倍に上昇。経済的な減収を上回る価値として「働き方の自由度」が受け止められていることが示唆されます。

図2:教員時代と現在の満足度比較(n=107)
【結果4】退職検討期間は「1年以上」が55%、衝動的な離職ではない
退職を検討してから実際に退職するまでの期間について、「1年以上」と回答した人が55.1%(59名)。うち「3年以上」も21.5%(23名)にのぼります。「半年未満」(18.7%)と比べて、退職は突発的な行動ではなく、長期にわたる葛藤の末に下された判断であることがわかります。
【結果5】退職理由は「働き方」が中心、給与待遇よりも仕事量・両立困難
退職理由(複数選択)の上位は、仕事量(57%)、長時間労働(54%)、家庭との両立(45%)、キャリア拡張(39%)、仕事内容(37%)。給与待遇(14%)は下位に位置し、退職判断の中心は「働き方」と「ライフイベントとの両立」にあることが鮮明になりました。

図3:退職を決めた理由TOP10(複数選択、n=107)
■ 本調査からの示唆
本調査の結果は、教員不足対策において「離職した教員の呼び戻し」を前提とした施策の有効性に再考を促すものといえます。退職者の納得感は高く、戻る意向は限定的であり、「辞めた人を戻す」よりも「これから辞める人を防ぐ=現在の働き方そのものを変える」ことが、より本質的な打ち手となる可能性が示唆されました。また、退職検討期間が長期にわたる傾向は、現職教員のキャリア相談・選択肢提示の必要性を示しています。
■ 代表コメント
「弊社は教員のセカンドキャリア支援を行っている関係から、ともすると『退職を勧めている』と見られることがありますが、私たちは決して『辞めること』を推奨しているわけではありません。実際、Re-Careerにご相談に来られた方の中には、対話を通じてご自身の現在地を整理した結果、『もう一度、前向きに教員を続ける』と決められる方も少なくありません。ただ、退職を選んだ先生方が、教員として培ってきたスキルや経験、子どもたちと向き合ってきた一生懸命な日々を、その後のキャリアに活かせないとしたら、それはあまりに惜しいことだと感じています。
今回の調査で見えてきたのは、退職した先生方が『逃げた人』ではなく、長く悩み、自分の人生と真剣に向き合って決断した人たちであり、その多くが新しい働き方の中で前向きに歩み直しているという事実でした。
教員という仕事に魅力を取り戻すためにも、まず現職の先生方が安心して働き続けられる環境を整えることが急務です。同時に、退職を選んだ方々が築いてきた力が、社会の別の場所で活きる仕組みも必要です。Re-Careerは、教員を続ける選択も、新たな道を選ぶ選択も、本人にとって納得のいくものとなるよう、得られたデータを社会に還元しながら、これからも先生方のキャリアに伴走してまいります。」
(Re-Career株式会社 代表 新川 紗世)
■ 今後の展開
本調査は速報版として107名の回答をもとに発表しています。今後は回答者数を拡大した本調査版の公開、クロス集計レポートの提供、メディア・教育関係者・研究者向けの詳細データ提供を予定しています。また、本調査をベースに教員のセカンドキャリア支援プログラムを継続的に開発・提供してまいります。■ 関連コラム記事(全9本シリーズ公開中)
本調査の各テーマについて、Re-Career公式サイトで詳細解説コラムを公開しています。教育関係者・メディアの皆様の取材・引用にご活用ください。01|元教員107名のリアル・主要発見6つのまとめ(ハブ記事)
https://re-career.net/archives/4281
02|退職検討期間55.1%が「1年以上」|熟慮の末の決断
https://re-career.net/archives/4282
03|退職理由TOP3|仕事量・長時間労働・家庭両立、給与は14%
https://re-career.net/archives/4285
04|教員の病気休職率28%・うち36%が1年以上の長期休職
https://re-career.net/archives/4289
05|退職後の進路|フリーランス最多・転職2回以上で年収増25%
https://re-career.net/archives/4293
06|退職後の働き方|週30時間未満44%・在宅37.5%
https://re-career.net/archives/4296
07|退職理由は性別・校種で違う|女性は防御的、男性は攻撃的退職
https://re-career.net/archives/4299
08|退職者51名から現職教員への声|4テーマで読むメッセージ
https://re-career.net/archives/4303
09|教員不足対策の限界|「呼び戻し」より「辞めない環境づくり」
https://re-career.net/archives/4304
■ 調査レポート全文(全31ページ・無料公開中)
本リリースに掲載した数値の根拠データ、クロス分析、自由記述の分析、考察と社会的示唆を含む詳細レポート(全31ページ)を、Re-Career公式サイトで無料公開しています。▶ https://re-career.net/report/teacher-career-2026
【会社概要】
会社名:Re-Career株式会社事業内容:元教員・現職教員のキャリア支援、キャリアコーチング、コミュニティ運営、調査研究、研修・講演
代表:新川 紗世
URL:https://re-career.net/
【本件に関するお問い合わせ】
Re-Career株式会社 広報担当Email:info@re-career.net
※調査の詳細データ、追加クロス集計、メインビジュアル素材のご提供、取材ご依頼など、お気軽にお問い合わせください。
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