鶴見区の急坂
実は港北迷宮をくぐり抜けていく途中で鶴見区の坂にも訪れていた。鶴見区も港北区に負けないハイレベルでスリリングな極細迷宮を擁しており、車幅すれすれの路地をいくつか通り抜けてたどり着いた最初の坂は、何とまたもや既測坂であった。
鶴見区東寺尾中台の坂・・・12°(21.2%)
道幅は細いがなかなかのロングディスタンス坂。あいかわらずの12°をマーク。
東寺尾中台の17から15にかけておよそ130メートルの坂だ。
鶴見区「滝坂」・・・11.5°(20.3%)
横浜環状北線の工事が着々と進む、新「滝坂」。
中腹から眺めると、遠くにはかつて歴史を学んだキリンビール生麦工場も見えた。
新「滝坂」周辺は現在進行形で造成中。住宅地ができつつある。
坂沿いには「売物件」の幟がいくつもはためいている。
着々と進むトンネルの工事現場の迫力も見逃せない。
なるほど、最近造成された急坂は抑制が効いていて、坂下は6°、中腹は10°と10°前後に調整されているが、坂上部で11.5°を叩き出しているあたり、コメントに「旧滝坂はもっとすごかった」とあることから想像すると、14°超のAランクも期待できたかもしれない。
ああ、旧「滝坂」を歩いてみたかった。どれくらい急だったんだろう、せめて写真だけでも見られたら、と思いは募ったが、残念ながら時は流れてしまった。消えた急坂に思いを馳せながら、滝坂をあとにした。
そこで、現在の地図に1963(昭和38)年の「横浜市三千分一地形図」を重ねてみると、かつての滝坂のコースが明らかになった。
環状線工事のためにぐぐっとヘアピン化したことがよくわかった。
かつて、旧滝坂下から少し上った右手に「滝坂不動」があり、その名の通り龍口から流れ落ちる滝があったこと、子安台公園はかつて、陸上自衛隊子安分屯地 だったことなどが『横浜市三千分一地形図』、『鶴見の坂道』や1931(昭和6)年発行の『模範大横浜市全図』から分かった。とはいえ残念なのは、地図は 平面であり、高低差が分からないことだ。
鶴見区岸谷8「生麦中に上る坂」・・・10°(17.6%)
滝坂を抜けた先で見かけた、生麦中へと上る坂にも立ち寄り計測。10°をマーク。