弁護士・理崎智英さんが、離婚にまつわるさまざまなお悩みにお答えします。
今回のご相談者は、財産分与の際にiDeCoやNISAなどの投資資産が対象になるのか悩んでいます。
<相談内容>
離婚時の財産分与で、iDeCoやNISAなどの投資資産は対象になりますか? 夫が「独身時代から積み立てていたものだから分けない」と言っています。(30代・女性)
1. 名義に関係なく、婚姻中の財産は分与の対象に
前提として、夫婦が婚姻中に取得した財産は、原則として財産分与の対象になります。夫婦どちらの名義であるかどうかは関係がありません。土地、建物、預貯金、株式、自動車等あらゆるものが財産分与の対象になります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)については、退職金に近い性質を持つため、退職金が財産分与の対象になるのと同様に、財産分与の対象になります。NISAについても、一般の株式や投資信託などと同様に、財産分与の対象になります。
2. iDeCo・NISAで分与対象になるのは「婚姻期間中」の部分
ただし、iDeCoについては、積み立てた全額が財産分与の対象になるわけではありません。対象になるのは、別居した時点での評価額のうち、婚姻期間中に積み立てられた部分だけです。結婚前に積み立てていた分や、別居した後に積み立てた分は、それぞれ個人の財産(特有財産)となり、財産分与の対象にはなりません。
iDeCoは、原則60歳になるまで引き出せません。そのため実際には、別居時点での評価額を出したうえで、そのうち結婚していた期間に対応する金額を計算し、財産分与の対象財産に加えるという手順になります。
また、NISAについても、財産分与の対象になるのは、結婚してから購入したものに限られます。結婚する前から持っていた銘柄や、別居した後に購入した銘柄は対象にはなりません。子ども名義の投資口座が、財産分与の対象になるかどうかが問題になりますが、口座の名義は子どもであっても、購入費用を親が負担している場合は、夫婦の共有財産として財産分与の対象に加えることになります。
NISAやiDeCoは、「結婚前から積み立てていたものだから」という理由だけで全体が分与の対象外になるわけではありません。結婚前の部分は対象外になりますが、婚姻期間中に積み立てた部分は、名義にかかわらず分与の対象になります。とはいえ、対象となる金額の計算は複雑になりがちです。ご自身のケースで判断に迷う場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
(記事は2026年8月1日時点の情報に基づいています。質問は実際の相談内容をもとに再構成しています)
理崎智英(弁護士)
一橋大学法学部卒。東京弁護士会所属。登録番号43200。離婚・男女問題に力を入れている。豊富な解決実績・メディア出演多数。培ってきた経験やノウハウを活かし、一人ひとりに合わせたオーダーメイド型の解決策を提示している。趣味は、テニス、ビリヤード、生け花。
【記事協力:離婚のカタチ】
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