ありのままに自分自身でいること

スピーチの中盤で、彼女は男性へ呼びかけます。
この問題は女性だけの課題ではなく、男性の課題でもあるのです、という事をです。

父親の“親としての役割”が社会から軽視されていることや、若い男性が「男らしさ」に傷が付くのを恐れて、周りの人に助けを求められず、心を病んでしまっていることを発信します。
男性もまた、平等であれば享受できる権利に恵まれていないと言えるのです。

ありのままに自分自身でいられれば、私たちはより自由に生きることができます。このキャンペーンは、“自由をめぐる運動”だと彼女は言います。

このように、ひいては男性の権利も救うものだということを、強く訴える新しい角度からの発信なのです。
 

彼女が伝えたかった”リアル”とは

エマ・ワトソンはこのスピーチの最後に、世の中の全ての男女に数字を交えて絶望的な可能性を発信します。

「何も行動を起こさなければ、同じだけの仕事をした男性と同等の報酬を女性が受けられるようになるまであと75年かかります。今後16年間で、1550万人の少女が子供のまま結婚することになるでしょう。またアフリカの地方部に暮らすすべての少女たちは、2086年まで中等教育を受けられません。」この数字を持って、聴衆はいよいよ動かざるを得ない気持ちになります。
この緊張感溢れる表情と声がありありと伝わってくるスピーチは、スタンディングオベーションで讃えられました。

いかがでしたでしょうか。
“ハリーポッターのハーマイオニー役が国連でスピーチ!?”というところが気になり、スピーチを見始めた方も、見終わる頃には、フェミニズムに関しての考え方が少し変わったのではないでしょうか。筆者もその一人でした。

いつでも、世界を動かすひとの声に少し耳を傾けてみると、何かが変わるかもしれません。

月の労働時間350時間、音楽プロモーターでワーカホリックだった上にライターを兼業する無謀な87年生まれ。毎日アーティストと飲んだくれ、明け方に帰宅するという生活を5年間続ける。 現在はフリーランスのライター。女性の社会問題・仕事女子の生態・エンタメに従事。