静止した会話の中で
満を持してようやく現れた女性お二人、Sさん(左)とTさん(右)。
渋谷ってことでギャルとかお水っぽいケバさを想像していたんだけど、特にそういう感じでもない、可愛らしいお嬢さんです。
挨拶もそこそこ、まずは席についてもらい、飲み物を選んでもらいます。
ほどなくドリンクが届けられると、店員さんが「まずは乾杯しましょう」と進めてくれました。で、この乾杯が「飲み放題開始」の合図でもあるようです。なるほどよく出来てる。
カンパーイ!わー!
ゴトウ「…」
T「…」
S「…」
ARuFa(あれ…?ゴトウさん、全然話さない…)
ゴトウ「…」
ARuFa「(この役立たずが…!)あ、あの。お2人は、このお店は…?」
S「実は始めてなんです」
T「あたしも…。今日は渋谷にちょっと用事があって、その帰りに寄ってみようってことになって」
ゴトウ「なるほど」
ARuFa「確かにこのお店、話題になってますしね」
T「そうなんです。来てみたら、すごい行列で。びっくりしました」
ゴトウ「なるほど」
ARuFa「お2人の関係は?」
S「学生時代の友人です」
ゴトウ「なるほどなるほど」
ARuFa(こいつ、さっきから「なるほど」しか言ってねえ…!)
T「そ、そういえば、変わったTシャツですね」
すると女性の気を利かせてくれた一言で、一気にスイッチが入るオタクのおじさん。
ゴトウ「あれ?このシャツ…気づかれちゃいましたか?まいったなー。これはご存知『涼宮ハルヒの憂鬱』のシャツでして。9年前のアニメなんですけど、ちょうどその時期に、ニコニコ動画が…」
T「…?」
ARuFa(あ、あれ?反応が薄い…というか全く無い…)
ゴトウ「そ、それで、エンディングのダンスを…みんなが…」
S「…」
ARuFa(やばい!会話が完全に上滑りしている…!)
ゴトウ「ま、まあとにかく!その!あの!ももも、盛り上がったアニメにあやかって、こ…この場も…盛り…上がったら…いい…な…って…」
ARuFa(絵に描いたように弱気になったあげく、意味不明の締め…。あれほど饒舌だったおじさんが…見る影もない…)
ゴトウ「い、以上です!」
S「???…は、はあ」
ゴトウ(ふう…何とかごまかせたか)
ARuFa(得点で言えば0点の会話でしたね)
T「えっと、飲み物を…取りに行ってもいいですか?」
このお店、飲み物がドリンクバーのセルフサービスになっています。ソフトドリンクのドリンクバーはファミレスなどでよく見かけますが、アルコール類のドリンクバーは珍しい。注ぎ方を教えてあげたりして、さっきの妙な雰囲気を何とか取り戻します。
さて、席に戻り、改めて会話をすることに。
T「ゴトウさんは、今までにどういった記事を書いたりしてるんですか?」
ゴトウ「そうですね。先日はボルダリングに行って、その体験記事を書いたりしました」
S「ボルダリング?私もやったことありますよ!」
ゴトウ「え?本当ですか!」
S「1回だけ。面白かったんだけど、次の日の筋肉痛が凄くて…」
ゴトウ「そうです!僕、あまりにも全身の痛みが酷くて、インフルエンザにかかったって勘違いしましたから」
S「いや、熱とか出なかったでしょ」
ゴトウ「あのボルダリングって、取っ手が沢山あるように見えますが、実際には使っていい取っ手が決まってるんですよね」
S「そうそう」
ゴトウ「だから、こんな感じで取っ手にしがみついていても、次に使う取っ手の方向によっては…」
ゴトウ「こうやって!掴まないといけないんです」
S「うんうん」
ゴトウ「こうやって…」
ゴトウ「こう!」
S「はい」
ゴトウ「くぉう!」
ARuFa(こ、こいつ…ボルダリングの動きを利用して、フェロモンを撒き散らしてる!?)
ゴトウ「こうやって…こう!こうやって…!こう!」
S「あ、あの、もう分かりました」
ARuFa(全然効いてない…ちょっと!全然フェロモン出てないっすよ!)
ゴトウ(おかしい…こんなはずでは…。最近、肉を食べてないせいかな)
ARuFa(何を食べてるんですか)
ゴトウ(最近は、キャベツとツナのパスタとか食べてる。フライパンひとつで作れて簡単なんだ)
ARuFa(そんな土日のOLみたいなもん食ってフェロモン出るわけないでしょ)