結婚に愛なんていらない!?~結婚は、もう終わったコンテンツなのか?~

「三十過ぎて貯金もなく、誰の人生にも責任を取れず、そのくせ言うことだけ一人前の男をなんて言うか知ってるか? クズだ」

次にご紹介したい小説は、出版社勤めの「君嶋大地」(元恋人と不倫中)と恋愛小説家の「益岡恭司」の二人が登場する『オワ婚』(柴崎竜人/幻冬舎)です。

非合法のカジノで、二千万円の借金を背負うことになってしまった二人は、借金をカタに、ご令嬢「三船日子」(31)の政略結婚の成功を請け負うハメになります。

冒頭のきっつい言葉は、二人がご令嬢の父親から言われた言葉です。クズ呼ばわりされた二人は、言い返す術もなく、礼儀作法のレッスンから恋愛・結婚観の矯正まで、日子を容姿端麗の財閥御曹司が「結婚したくなる女」になるように仕立て上げて行きます。

この物語の中では、「白馬の王子様は現れるし、愛のない結婚なんてありえない」と断言する日子に、男性陣から次々厳しい言葉が降ってくるのですが、読んでいて非常に胸が痛くなりました(涙)。
「あのな。三十過ぎて独身の女には、もう白馬の王子様は現れない」「恋愛はファンタジー、結婚はリアル」「僕らの世代にとって結婚なんてもう終わったコンテンツなんだよ」などなど……。

本書によると、現代の結婚は離婚率が3割で生涯未婚率は2割を越えるのだそうですが、王子様が現れない上、離婚率が高いとなると、ますます結婚に夢がみれなくなってしまいますね……。

お金持ちの御曹司とお嬢様の結婚事情が描かれていますが、庶民である筆者が読んでも「結婚って一体何なのかな?子どもとお金と体裁のため?本当にそれだけなのかな?」と、深く考えるきっかけになりました。

大地と恭司に「結婚したくなる女」に仕上げられた日子の政略結婚がどうなるのか、ぜひ見届けてほしいです。「愛のない結婚は成立するのか? 愛のない出会いを求めて婚活するのか? いやいや、やっぱりそれはダメでしょう!」そう叫びたいのだけれど、実はちょっとだけ、リアルとファンタジーの間で揺れているんです……という女子の皆様に、ぜひ読んで頂きたいです。現実と夢が良い具合で描かれています。