1974年の初演から、宝塚歌劇の代表作として脈々と受け継がれる池田理代子原作漫画の舞台「ベルサイユのばら」。来年45周年を記念して、2部構成のスペシャルステージ『ベルサイユのばら45』が東京、大阪で開催される。歴代の“ベルばらOG”が歌やトーク、コスチューム姿で名場面やフィナーレナンバーを披露する。初代オスカル役の榛名由梨、2006年公演オスカル役の朝海ひかるが、会見で意気込みを語った。
宝塚にコスチュームプレイが定着する前の時代。熱烈な原作ファンから「生身の人間には難しい」との声も上がる中、迎えた初日の舞台裏で榛名由梨は、「膝の震えが止まらなかった」と明かす。「でもね、バスティーユの場面以降出番がなかったオスカルが、軍服姿でフィナーレに出てきた瞬間、ドォーっと3階席から滝のような拍手喝采が沸き起こった。ここまでオスカル人気はすごいのかと、ご満足いただけたことへの喜びと、責任感を改めて感じました」
以降の熱狂ぶりは、当時のグループ・サウンズ人気を凌ぐほど。移動時には海外アーティスト並みの警護が付き、千秋楽では警護に付いた警官が「役得だな」と漏らすほど。「想像を絶する量」のファンレターの返信には4年掛かったというのも、本当の話だ。役作りでは「ある程度男役が完成したところでの女性役(オスカル)ですから。近衛連隊長としての凛々しさを残しつつ、いかにアンドレへの女心を自然に表現するかには苦心しました」と榛名。一方、朝海ひかるは名作を受け継ぐ苦労を語る。「ベルばらとしてでき上がった振付や型を学んで、自分の体に落として演じることの難しさは想像以上でした。オスカル役が決まってからは上級生やスタッフの方々からそれぞれにアドバイスをいただき、皆さんのこだわりと作品への愛を感じました。退団して12年になりますが、今回はコスチューム姿で名場面を演じるので、皆様の期待に応えられるよう、身体も鍛え直して頑張ります!」
来年創立105周年を迎える宝塚歌劇。榛名は歴史ある宝塚だからこそ実現できた、唯一無二の集大成的作品と太鼓判を押す。「コスチュームプレイの所作、ラブシーンの夢々しさ、戦場での凛々しさと儚さ、英雄でありヒロインでもあるオスカルの存在、すべてにスターを育むノウハウが詰まっている。宝塚にとっては教科書でありバイブルのようなもの。歴代のスターさんが一堂に会するので、この機会を見逃す手はないと思います」。朝海もこれほど豪華なOG公演は経験がないと声を弾ませる。「ファンの方はもちろん宝塚は観たことがないけど興味があるという方にも、楽しんでいただけると思います」
公演は1月27日(日)から2月9日(土)まで東京国際フォーラムC、2月16日(土)から24日(日)まで梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。
取材・文:石橋法子