――それはどういう意味ですか?
藤谷:07年の東京ドームで行われた「GOD BLESS YOU ~One Night Dejavu」では一日復活でしたが、2010年にREBOOT宣言してで本格的に活動してるというのもありますし。海外ツアーや全国ツアーもやって、オリジナルアルバムもリリースして、「LUNA SEAが普通に音楽シーンに居る」っていう状況になって。それにヴィジュアル系にかぎらず色んなミュージシャンがTwitterとかで「LUNA SEAが好き」ということを言うのをよく見かけるようになって。今回のフェスに出る9mm Parabellum Bulletや凛として時雨のメンバーみたいに、昔からメディアのインタビューで影響を公言していた人もいるけども。
冬将軍:Base Ball BearやMASS OF THE FERMENTING DREGSとかね。一昔前は、LUNA SEAに限らず「ヴィジュアル系好き」と言いづらい風潮もあったからね。ハードコアやギターロックやってるのバンドマンが裏では「実はギター始めたのはLUNA SEAなんですよ」って、こっそり言ってるのはよく聞いたけど(笑)
藤谷:2010年の黒服限定GIGの時、凛として時雨のピエール中野さんがTwitter上で「LUNA SEAは日本のバンドマンに1番影響を与えているかもしれない。」と発言されていたのをよく覚えてます。
夢みたいなライブ。最後はMOTHERをジャケ買いして聴き狂ってたのを思い出して号泣。自分を含め、どれだけのバンドマンの人生を変えてきたんだろう。LUNA SEAは日本のバンドマンに1番影響を与えているかもしれない。しかも現役で。
— ピエール中野 凛として時雨 (@Pinakano) 2010, 12月 25
そういうのがリアルタイムで可視化されるようになったこともあるのかなあと。
それにこのフェスに関しても「ジャンルの壁をこえた」的な表現が使われたりしますけど、そもそもLUNA SEA好きな今のアラサー世代ってそのあと普通に9mmとか時雨聴いてませんでした?LUNA SEAのメンバーとイベントで共演してたりメディアで好きだって公言してるとかは関係なく、楽曲じたいに「LUNA SEA好きそう」って雰囲気があったと思うんですよ。
冬将軍:その辺のヴィジュアル系バンドよりヴィジュアル系っぽい。特にヴィジュアル系がキラキラ路線に多様化していくなかで、ちょっとダークで硬派なJ-Rockやってるのって、この辺のバンドだったじゃないですか。泣きメロ、スピード感のある楽曲、ソリッドなギターサウンドだったり。
LUNA SEAってBメロがない楽曲が多いんですよ。Aメロからいきなりサビ。いきなり主題で始まってAメロ、サビがあって主題に戻るみたいな。今じゃそれほど珍しくはないけど、「Aメロ→Bメロ→サビ」というJ-Pop構成が主流の、一番CDが売れてた90年代にメジャーでこういうことやってたのはLUNA SEAくらいですよ。「ヴィジュアル系っぽい、J-Rockっぽい」という楽曲のひな形を作った感はある。9mmや時雨が直接意識してたかどうかはわからないけど、そういった影響が自然と出てるんじゃないかな。今の30代くらいの音楽好きだったりバンドやってる人、好き嫌いは別として、LUNA SEA聴いてない人はいないんじゃないの。
藤谷:言い切った!
冬将軍:だって、90年代後半に世界で一番売れたギターって、ESP関連のINORANモデルだったっていう話ですよ。フェンダーやギブソンより売れたらしい。王道なシェイプだし、弾き手を選ばない。SUGIZOモデルはアームがついてたから楽器屋的にも初心者に薦めたくない(笑)。SUGIZOモデルよりも手頃な価格だったし(笑)。だから、ギタリスト・バンドマン人口の貢献には大きく影響してる。その頃に中高生だったバンドマンたちが、ゼロ年代のバンドとして今活躍しているわけで。
藤谷:時雨のTKさんも「最初に買ったのは赤いINORANモデル」とインタビューで仰ってますね。あと私の周りでもあの赤いINORANモデル買ってた人結構いたんですよ。そんなLUNA SEAが大好きってわけじゃない人でもデザインに惹かれて買ったりとか。