――個人的に一番意外だったのがthe telephonesでしたね。

藤谷:音楽的には一番異物感はある気がするので楽しみですね。

冬将軍:バックボーン的にヴィジュアル系の影響を公言してますよね。ドラムの松本誠治って、ヴィジュアル系バンドやったりしてたし。それに、Fear, and Loathing in Las Vegasもヴィジュアル系っぽいにおいはする。

藤谷:ROTTENGRAFFTYのNOBUYAさんも以前V系をやっていたと公言されていますね。そうそう、逆に…と言っていいのかわかりませんが、近年のインディーズの若いV系バンドでベガスの影響が顕著だなーっていうバンドもみますし。そういう循環はあるのでは。

冬将軍:hideやBUCK-TICKから、洋楽やラウドロックに流れたファンも多かった。THE MAD CAPSULE MARKETSもいたし。エモ系ではNATURE LIVINGからのSTART OF THE DAY、GUNDOGからのPay money To my Painであったりというシーンが出来て。

藤谷:PTPはDEADENDの主催のイベント(2011年の「四鬼夜行」)にも出演していましたね。PTPのPABLOさんはFAKE?でもサポートしていましたし。いろいろ縁が。

冬将軍:そういうデジロック、エモ…、ラウドロックシーンにもヴィジュアル系の系譜が大きくあるんですよね。LUNA SEAにおいて、音楽的なイニシアチブを握っているSUGIZOとJが洋楽志向というか、ファンやリスナーの耳を育てる役割を担っていたわけじゃないですか。“脱ヴィジュ(脱ヴィジュアル系)”なんて言葉もありましたけど、ブームによって形骸化しつつあったヴィジュアル系への反抗でもあったし、音楽的な拡がりでもあったかと。ラウドロックだったり、ギターロックだったりへと派生していった感は大きくあると思う。

その橋渡し的なところに居たのが、LUNA SEAだった。ハードロックでもないし、ニューウェーヴと言い切れるかといえばそうでもない。別に脱ヴィジュもしてないし、コアな音楽性に振り切ってたわけでもないんだけど、サウンドアプローチを深く辿れば別のところが見えてくる… 。どこのジャンルにもいけるんですよ、LUNA SEAを入り口にいろんな音楽に触れた人は多いと思う。

藤谷:LUNA SEAのメンバーからの影響って洋邦問わず数えきれないですよ。たとえばJのインタビューをきっかけにダイナソーJr. に興味を持ったり、INORANからD’ERLANGERを、RYUICHIからDEADENDを、SUGIZOからキュアーやJAPAN、そうそうエンヤを聴いたのがSUGIZOの影響って人も知り合いにいたな(笑)。本当に数えきれないですよ。

冬将軍:こうして出演者が並んでるのを見ると、90年代、LUNA SEAをリアルに見てきた世代とっては、好き嫌いはあるだろうけど、“すごく解る”メンツだと思う。みんな同じにおいがするというか。若い人たちはピンとこない部分もあるかもしれないけど、実際このフェスを通して見れば、そのにおいが解るんじゃないかな。

近年はいろんな音楽フェスが増えて、アーティスト主導の場合も珍しくはないけど、変にバラエティに富ませようとはした無理矢理感はないし、売り出し中のアーティストをねじ込んだ、みたいな大人の力もない。そういう意味ではすごくストイックだし、LUNA SEAらしい。それに、BUCK-TICKとX JAPANが日程は違えど、同じフェスに出るってものすごいことなわけですよ…。先輩、後輩入り交じった、いろんな意味で、LUNA SEAじゃないと繋がらないメンツですよね。J-Rockシーンのある種、最大公約数的存在とでもいうような。「LUNA SEAを以てすれば、大体のJ-Rockは説明出来る」と言ってしまっても大袈裟じゃないと思う。

藤谷:今まで話していた流れって、ある意味このフェスの「LUNA SEA以後世代」を象徴するような流れですよね。「LUNA SEA以前」の流れ、LSBやエクスタシーサミットの話は市川さんのリアルサウンドの記事を読んでもらえばわかりますし。他社の記事ですけど(笑)!
もう後は心配なのは当日の天気ですよね。

――それはどういう意味ですか?

藤谷:LUNA SEAは「嵐を呼ぶバンド」と呼ばれていまして。昔は戦後最大の大雪だの台風がライブの日に直撃することがあったんです…(苦笑)。とにかく楽しみですね!

冬将軍:強引にまとめましたね。