枕選び、ポイントは「首の角度」!

「みなさん寝具売り場に行かれたとき、その場で感じられる手ざわりや肌ざわりなどで選ばれることが多いと思います。でも、枕は本来寝ている間の姿勢を決めるものなので、身体に合うかどうかが重要なんですね。例えば、柔らかい枕は頭を預けたときにどれほど沈み込むのか。頭の重さは平均的に男性が5〜6kg、女性が4〜5kgといわれていますが、同じ素材でもやはり頭の大きさにより沈み込む具合いも異なります」

素材のやわらかさなどを求めがちだが、それはあくまでも「眠りに落ちるまでの感触です」と齊藤さんは話す。そこで、枕選びの基準として「首の角度が約15度前後」という数字と「寝返り」がキーワードになってくるという。

「仰向けになって『首の角度が約15度前後』になるように睡眠時間を保てるのが目安です。ちょうど頭と身体を繋ぐ首の骨“頸椎(けいつい)”には全身を司る大切な神経が集中しています。首は不自然な角度で曲がると首回りの筋肉が緊張し神経に栄養分を運ぶ血管が締めつけられ、結果的に神経を痛めることになり、肩こりや腰痛などさまざまな症状を引き起こす原因にもなります」

いちばん上が適切な状態の図。低すぎても高すぎても、首を通る大切な神経が圧迫されてしまうという。

「頭と身体の構造を考えても、人間は日常的にまっすぐな姿勢を保とうとすることで負担を抱えています。横になって寝る時だけ、唯一その負担から解放されるんですね。約15度前後というのは、整形外科の治療で行われる“けん引療法”と似たイメージです。頚神経に圧迫がない睡眠姿勢になることは、慢性的な痛みなどを抱えた方にとっては一晩中治療しているようなものです」

すぐに試してほしい。自分で作れる理想の“玄関マット枕”

寝具売り場やネット通販で自分の体形・体格に合わせた枕を選ぶのは大変難しい。しかし、身近なもので簡単に作れる、理想的な枕“玄関マット枕”の作り方を教えていただいたので、紹介していこう。

◎用意するもの
玄関マット(1枚)
新品で裏地までしっかりしたもの。ゴワゴワしたものではなく毛足が短いもので、サイズは横80〜90cm、縦50cmほど。

タオルケット(1〜2枚)
折りたたんだときに玄関マットより小さくならないもの。質感は玄関マットと同じく、毛足が短いもの。適度な硬さがあるものが望ましい。

バスタオル(1~2枚)
タオルケットでもサイズが足りない場合の予備。