美しい“頭の中”の世界観を彩る照明技術
照明監督のキム・ホワイトは、チシャ猫の登場シーンを見て「ただ照明がオンとオフになるだけでなく、照明自体が物語を語ることができると思った」と話しています。
チシャ猫の表現を生かすため、仮のセットを作り、初期バージョンのヨロコビを立たせ照明のテストをしました。
それを見た監督のピート・ドクターは「これまでとは違った形で頭の中を見せる可能性に溢れているね」とテスト段階にも関わらず大絶賛。
ここから試行錯誤を繰り返し誕生したのが、「頭の中の司令室の全容を見せる場面」です。
ライリーの頭の中に彼女の思い出が蓄積されるのですが、この思い出がやってくる様子をヨロコビが眺めるシーンに、チシャ猫の照明表現が生かされています。
実際に映画を見ると、思い出が通ると背景がピンクやオレンジに光っていくのがわかります。
まさに『ふしぎの国のアリス』の背景が光る様子とリンクしているのです。
私は、『インサイド・ヘッド』を観て、その素晴らしい世界観やストーリーはもちろん、これまでにない世界観を分かりやすく美しく説明していく冒頭シーンに大変驚きました。
映画の事前知識がなくても、簡単に“頭の中”の世界観を説明していく様子はまさに美しいという表現がぴったりでしょう。
そんな美しい説明を可能にしているのが、ディズニーの名作が生かされた照明技術だったのです。
ピクサー最新作『インサイド・ヘッド』。
是非劇場でその素晴らしい世界観と、それを表現する照明技術を味わってみてください。
映画『インサイド・ヘッド』は7月18日(土)全国公開。
『ふしぎの国のアリス』デジタル配信中