3.家族葬の落とし穴 注目葬儀のメリット・デメリット

近年、人気の家族葬ですが、それだけにメリットは多くあります。まずは、身内だけなので余計な気を使わずに、ゆっくりと故人とお別れする時間が取れます。飲食の手配や会葬返礼品の手配も抑えられるので、葬儀費用も抑えられます。

しかし、費用面だけを考えると、宗家(喪主)の持ち出しは一般葬と変わりません。たしかに葬儀費用はかなり抑えられますが、参列者からの香典がいただけないからです。生前、故人と親しく参列を望んでいた方々への配慮にもまた、後から問題になってくることもあるようです。家族葬にするかどうかは、宗家だけの事情で考えるのではなく、個人の交友関係を考慮して決める必要があるでしょう。

「安さだけにとらわれると、思わぬ落とし穴があります」と、飛岡さん。「特に家族葬の金額を大幅に安く設定している葬儀社には、気をつけたいです。適正価格を逸脱して安い価格の葬儀を頼んだがためのクレームは後を絶たないようです。

また、菩提寺がある場合はさらに注意が必要です。家族葬だけに限ったことではないですが、あまりにお寺を無視した葬儀を行うと納骨時に様々なトラブルが発生するケースもあります。それらを避けるためにも葬儀社との綿密な打ち合わせが必要となります。この打ち合わせを面倒臭がるような葬儀社であれば、依頼を考えた方がよいかもしれません。

どのような形の葬儀であれ、まずは故人への想い、そして手間をかけるのが、よい葬儀といえそうですね。

「ぴあ中部版」映画担当を経て上京、その後はテレビ情報誌、不動産雑誌・広告などの編集・ライターを務める。著書に『年収350万円でも家が買える』(2014年・彩図社刊)。また、映画監督としては、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭などで注目され、2002年「異形ノ恋」(出演・西川方啓、木下ほうか、寺田農)でデビュー。