年々、上昇している日本の平均寿命。2013年には、男性が80.21歳、女性が86.61歳と、男性もついに80歳の大台を超えた。1990年に男性75.92歳、女性81.90歳、1960年に男性65.32歳、女性70.19歳であることを考えると、現在のシニア層には多くの時間が用意されているといってよいだろう。
また、肉体的、精神的にも現代のシニア層は若く、定年退職後に新たな人生を歩む人は多いという印象を受ける。20代の会社員であれば、「退職後のことを考えるなど、まだまだ」という方が多いだろう。しかし、私のような40歳を越えた世代から言わせてもらえば、もっと早くから準備しておけばよかったと考えてしまう。
たしかに、退職後に何を人生の楽しみにするかはゆっくりと考えればよいし、実際に退職してから考えることなのかもしれない。しかし、将来好きなことをして過ごすための足場固めは、今からできるのではないだろうか?
高度経済成長期との違いを考えてみよう
高度経済成長期を生きた私の父の世代を振り返ってみると、終身雇用は当たり前、マイホームのローンも定年までに完済し、定年後すぐに年金を受給し、悠々自適に老後を過ごした。しかし、その世代では当たり前だった感覚は現在、失われつつある。
大手企業に入社しても、定年まで安心に暮らせるとは言い切れない。年金の受給開始年齢も引き上げられており、私たちの世代になると70歳になるまでもらえない可能性もあるだろう。退職金についても、当たり前にもらえるという時代でない。厚生労働省の調査によると、退職金制度のある企業の割合は、平成5年度に92%だったが平成25年度には75.5%にまで減少しているのだ。
現在、私は終活に関するセミナーに関わっているが、実際にシニア層が問題にしているのは葬儀や相続ではなく、現在の生活をどうするかということについて。基礎年金だけで暮らしている方は当然だが、厚生年金を受給している方も平均20万円以下という現状では、日々を生きるだけで精一杯という印象である。
20代~30代前半にやっておきたいこと
20代、遅くとも30代にやっておきたいことは、人脈づくり、スキルアップのための資格取得、旅行で世界を見るなどさまざま。将来への土台作りも、その一つであることは確かだ。しかし、私自身もそうだったが、多くの方の場合は結婚して、子どもができてからそのことに気づく。
だが、準備は早いに越したことがない。たとえば、マイホームは出来るだけ早く購入した方が、ローンの完済が早い。先程のシニア層でも、もっとも深刻なのは、マイホームを持たない層や住宅ローンを完済し終えていない方だ。マイホームに限ったことではないが、資産を持つことは将来を考えるうえで、欠かせないアイテムだといえる。
また、資産は転ばぬ先の杖にもなる。私も以前に会社が倒産したが、資産があったことで、新たな事業を起こすという人生のリスタートを切ることができた。仕事や趣味を通してスキルアップさせた技術も、それを出すための資本がなければ無駄になってしまう。資産がなければ、路頭に迷っていたであろう。