今週のテーマ「やる気が起きないときに飲みたい、燃える赤のパッケージ缶コーヒー3本飲み比べ」

メーカー:JT
商品名:Roots エクスプローラー ハードショット 

コーヒー豆の中でも良質な苦味が特徴のインドネシア産高級豆・マンデリンを中心にブレンドした缶コーヒー。2種類の深度で焙煎することにより、旨みと苦味の両方を引き出した味わいは、確かにパッケージにある通り“旨苦”と呼ぶにふさわしい。さらに本品が優れているのは、旨みと苦味がそれぞれ独立しているのではなく、旨みから苦味が生まれる一方で苦味が旨みを引き立てているという、いわば補完関係にあることだ。旨みが苦味にもなり、苦味が旨みにもなる――言うなればそれは、ダブルボケという独自のスタイルで一世を風靡した笑い飯の芸風に近い。ボケとツッコミにはっきりと役割が分かれたスタンダードなスタイルもいいが、たまには笑い飯のたたみかけるようなボケの応酬を楽しみたい。それと同じ楽しみ方を缶コーヒーに求めるのなら、「Roots エクスプローラー ハードショット」がオススメだ。 

 【成分(100gあたり)】

エネルギー(kcal) 28
たんぱく質(g) 0.6
脂質(g) 0
炭水化物(g) 5.4
ナトリウム(mg) 44.9
糖類(g) 記載なし

 

コク ★★★☆☆
キレ ★★☆☆☆
香り ★★★☆☆
甘味 ★★☆☆☆
苦味 ★★★★☆


メーカー:KIRIN
商品名:FIRE 挽きたて逸品 

甘い香りが特徴のグアテマラ産最上級豆に、インドネシア産最上級豆、さらにマンデリングレードワンという高級豆づくしのブレンドコーヒー。素材が良いだけのことはあり、香り、コク、苦味、甘さなどがすべてバランスよくハイレベルにまとめられた一本だ。特に甘さと苦味のバランスに優れており、両方をきちんと味わいたいという贅沢なユーザーニーズにも応えてくれる。「こうしてほしい」という顧客の要望にきっちり結果を出すその仕事ぶりは、俳優の香川照之を彷彿とさせる。コミカルからシリアス、時には特殊メイクを駆使してまったく違う人間に化ける彼の演技力は、まさに芸能界一の仕事人と呼ぶにふさわしい。そんな香川のごとく、この「挽きたて逸品」も缶コーヒー界のプロフェッショナルとして末永く活躍してほしい。

【成分(100gあたり)】

エネルギー(kcal) 33
たんぱく質(g) 0.2~1.2
脂質(g) 0~1
炭水化物(g) 6.3
ナトリウム(mg) 50
糖類(g) 記載なし

 

コク ★★★☆☆
キレ ★★☆☆☆
香り ★★★☆☆
甘味 ★★★☆☆
苦味 ★★☆☆☆

 

メーカー:富永食品
商品名:神戸居留地 炭焼珈琲 

無香料、粗挽き、レギュラーコーヒー100%という3点にこだわったマイルドな味わいの缶コーヒー。口当たりにややクセがあり好き嫌い分かれるかもしれないが、パンチの利いた甘さは他の缶コーヒーと一線を画しており、脳に糖分を補給したいときなどはうってつけの一本といえる。また無香料であるにも関わらずガツンと押し寄せる香りは、粗挽きならでは。凡百の缶コーヒーにはない魅力を備えた製品であり、長く愛されているのもよくわかる逸品だ。それはまるで、何十年もファンを魅了してやまない長渕剛の歌声のようでもある。彼が発表してきた数々の名曲が今でも色褪せないように、「神戸居留地 炭焼珈琲」の味もまた色褪せず受け継がれていくことだろう。

 

【成分(100gあたり)】

エネルギー(kcal) 33
たんぱく質(g) 0.5
脂質(g) 0
炭水化物(g) 7.2
ナトリウム(mg) 31~53
糖類(g) 6.4

 

コク ★★☆☆☆
キレ ★★☆☆☆
香り ★★★☆☆
甘味 ★★★☆☆
苦味 ★★☆☆☆

 

やまだい・ゆうき 映画、漫画、ゲームなどエンターテインメント関連の記事を中心に執筆するフリーライター。飲料では特にコーヒーとカフェオレをこよなく愛しており、これまでに数百もの缶コーヒーの感想を記録している。ブログ