相談内容は多岐に渡る!
こうして見てみると、今回挙げたすべての相談をしてもOKのようです。もちろん、会社によって異なりますのでその利用の範囲内で相談しましょう。
佐々木さんによると、相談内容は非常に多岐に渡るといいます。
佐々木「相談内容は、体調不良や健康相談、ハラスメントなど職場の人間関係やキャリアの相談、離婚や介護の問題など、さまざまです。
私は女性産業医ということもあり、婦人科疾患や妊娠にまつわる相談、家庭と仕事の両立、子育ての相談を受けることもあります。必ずしも具体的な解決策を提示できるとは限りませんが、過去に似た例があれば、もちろん個人情報は守った形でそのときのお話をしたり、私の経験をお話ししたりするときもあります。
お話しされることで、ご自身の中で問題や考えが整理されるという側面もあります。
もちろん産業医なので、メインは健康を害さずに働くにはどうしたらよいか、あるいはご相談者の方が自身の健康を自己管理するにはどうしたらよいかという観点で面談を行います。
カウンセリングなど治療に準ずることは、あくまで医療機関にお願いしますので、その点はご理解ください」
また、産業医の通常業務には、希望者との面談の他にも次のことがあると、佐々木さんは話します。
・健康診断後に必要のあると思われる方への面談
・長時間労働をした方への面談
・ストレスチェック後の高ストレス者の面談
・休復職の面談
など
産業医はこんな風に活用できる!
続いて佐々木さんに、20代の働く女性が、産業医を活用する際のアドバイスをいただきました。
まず婦人科検診の活用を
佐々木「20代の働く女性に対しては、産業医よりもまず婦人科検診の活用をおすすめしたいです。産業医面談でもよく聞くのが『子宮頸がん』のお話です。婚約・結婚や妊娠のタイミングで子宮頸がんであることが分かり、ご相談に来られるケースが多くあります。企業によって、あるいは自治体によっては婦人科検診の補助を出しているところもありますので、ぜひ検診を受けてほしいと思います」
早めに相談・受診しよう
佐々木「若い方は、多少無理をしても大丈夫と思っている方が多く、体調がだいぶ悪くなってからご相談に来られることがあります。病気にならないように、あるいは病気になってしまっていても早めに対処することが重要ですので、早めに産業医や産業保健師・看護師との面談を申し出たり、あるいは医療機関を受診したりするようにしましょう」
会社側に産業医面談について確認を
佐々木「産業医は、事業場の労働者数が50名を超えた時点で選任されますが、小規模の事業場では、産業医の訪問は月1回程度です。産業医は面談業務以外に衛生委員会への出席や職場の巡視、健康診断の結果チェックなども行っていますので、長時間に渡る面談やたくさんの方の面談には対応できないのが実情かと思います。
反対に、大規模事業場によっては、ほぼ毎日産業医が来ているところや、複数名の産業医がいる場合もあります。あるいは定期の産業医訪問は月1回だけだけれど、産業医の訪問日以外に産業医面談を設定してくれる企業もあります。
その他、産業保健師や看護師、心理職の方が在籍もしくは来訪される企業もあります。まずは衛生管理者など企業側の窓口の方に面談について聞いてみてはいかがでしょうか。
2019年4月から労働安全衛生法に基づき、産業医を選任している事業場は、その事業場における『産業医の業務の具体的な内容、産業医に対する健康相談の申出の方法及び産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法』を労働者に周知することとなりましたので、その内容を会社に確認しても良いでしょう」
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いかがでしたでしょうか? 産業医には体調面、メンタルの相談など幅広くできることが分かりました。
もし何か悩みがあり、自分が今勤めている会社に産業医面談ができる可能性があれば、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
【取材協力】佐々木 ちひろ さんプロフィール
Plenty of Fruits株式会社 代表取締役 産業医・睡眠健康指導士・研修講師・コーチ
「喜びとワクワクに満ちた実り多き人生を!」という思いで、産業医として心身共に健康で楽しく働くサポートを目指している。
【参考】
厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法の施行等について」