会社に勤めて仕事をしながら、心身の不調に悩まされていませんか?

そんなとき、職場で産業医への面談を申し込める環境にあるという方もいるかもしれません。

でも、産業医といっても「利用方法がわからない」「こんな悩みを相談してもいいの?」「面談ってどんなことをするの?」など不安なことも多く、なかなか活用まで行かないという方もいるかもしれません。

もちろん会社によって産業医の利用についての制度は異なりますので一概には言えませんが、もし産業医に相談できる環境がある場合、活用するのも一つの方法です。

そこで今回は、企業で面談などの産業医業務を行っている産業医の佐々木ちひろさんに、産業医に相談してよいことや、産業医のその他の活用法についてお聞きしました。

産業医に、こんな相談はあり?なし?

職場に産業医がいて面談を申し込める会社の場合、活用することができます。そんな産業医に、次のような悩みを相談しても良いのでしょうか?

産業医の勤務体制は企業によって大きく異なるため、相談してもいいかどうかは一概には言えませんが、今回は、一般的なことや佐々木さん自身の体験から判断いただきました!

ストレスが原因の頭痛や体調不良

佐々木「この相談はありです。ストレスが原因で起こりやすい疾患については、どうしてその症状が起こるのか、睡眠などの生活習慣やストレスの対処法、予防策についてお話ししています。相談者の方がどんなことについてストレスを感じているのか、どんな予防策や対応策が取れるかについてお話ししながら整理もします。

ストレスが原因かどうか分からなくても、頭痛を含め体調不良に関する相談には対応しますが、一部の企業内診療所を兼ねる場合を除けば、産業医は通常の医師のような診断や治療は行いません。つまり、頭が痛い、お腹が痛いというような症状に対して『片頭痛』や『感染性腸炎』といった病名をつけたり、それに対するお薬の処方など治療をしたりはしません。

受診が必要な場合は、かかると良いと思われる診療科について教えたり、診療情報提供書といった、これからかかる医師へのお手紙を作成したりします」

職場の人間関係の悩み

佐々木「この相談もありです。産業医は人間関係に起因した心身の不調への対応がメインですので、受診が必要な状態かの判断、ストレスへの対処法などについてアドバイスを行います。また主治医の先生に、仕事を続けるにあたってどういう配慮が必要なのか伺ったり、職場環境に問題があるようであれば、企業側に改善をお願いすることもあります。

相談内容にもよりますが、部下としての視点と上司としての視点の違い、ご自身の苦手なタイプについてご本人とお話ししながら深掘りをすることもあります。

職場の状況確認や改善が必要と考えられるときは、ご本人の了解を得て、人事の方や上司の方と連携を取ることがあります」

恋愛の悩みや恋愛が原因のメンタル・体調不良

佐々木「相談として受けることはあります。前の質問と同様、産業医は心身の不調への対応がメインですので、受診が必要な状態かの判断、ストレスへの対処法などについてアドバイスを行います。

ご相談者のお話を伺いますが、前の質問でお答えしたように産業医は診断・治療は原則としてしませんので、カウンセリングや治療が必要な場合は医療機関をご紹介したり、企業によってEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)といった、外部のメンタルヘルスサービスが利用できる場合はそちらをご紹介したりすることもあります。

産業医はあくまで仕事とご本人の体調の兼ね合いを調整する役回りですので、恋愛そのものの悩みについてはご自身もしくは外部のサービスを利用していただきます」

生理不順や不眠などの睡眠の悩み

佐々木「この相談もお受けします。月経関連疾患や婦人科疾患のご相談はかなり多く受けており、婦人科受診を指示するケースが多いです。生理不順や月経困難症のケースの場合は、ピルの服用についてお話しすることもあります。

睡眠に関しては、私自身が睡眠健康指導士という資格を持っているため、具体的なアドバイスをするケースもあります。また、日中のパフォーマンス向上やメンタルヘルスの問題が起きにくくなるためにも睡眠が重要である旨をお話しします。受診の指示をする場合もあります」