この時点で13時半過ぎ。

アリーナでは司会者などの動きを確認するリハーサルがすでに始まっている。13時から六本木ヒルズの49Fのフロアでは報道陣の受付が開始されているが、アリーナの準備が完了しないと、報道陣をアリーナに誘導することはできない。

予定の時刻をやや過ぎて、ようやく報道陣の移動と場所取りが開始された。

カメラマンの取材位置は階段状になっており、先着順にカメラマンが自分の撮影する場所を押さえていく。最終的に集まった報道陣は695名! 

これだけの人々を49Fからエレベーターで順番に誘導していくため、どうしても時間がかかるし、中には受付の開始後、イベントスタート直前の時間にやって来る報道陣もいる。

各撮影ポイント担当のスタッフたちは受付と無線で「あと5名入ります」「こちらあと10名カメラマンさんが待っています」などと連絡を取りつつ誘導していく。

傍から見ていて「ここにホントにあと10人も入れるの!?」と思うほど、すでに各カメラマン席は埋まっているが、スタッフは時に、既に場所を取っているカメラマンに頭を下げつつ、少しずつずれてもらい、スペースを作っていく。

もちろん、この晴れ舞台で事故などは言語道断! 

細心の注意で状況を見極めつつ、少しずつ、しかし迅速に人を入れていかなくてはいけない。

と、ここで時計の針が15時を回り、オープニングの音楽が大音量で鳴り響く。

まだ報道陣が全て入りきっていない状態で、容赦なくオンタイムでオープニングイベントの幕が開けた! 

それでも何とか、ゲストが到着するまでに全ての報道陣を取材場所に誘導し終えた。

当初、スーツ姿だった篠原さんだが、開始前の時間にセレモニー用のタキシードへの着替えを済ませていた。国際映画祭とあって、篠原さんだけでなくアリーナのスタッフは全員正装! 

ちなみに篠原さんのタキシードは「レンタルです(笑)」とのこと。

篠原さんをはじめ、アリーナの多くのスタッフは朝の打ち合わせからここまで準備に追われ、残念ながら49Fに用意された昼食をとる時間はなし。

篠原さんは差し入れられた飲み物で時折、のどを潤しつつ、いよいよイベント本番に挑む。

本番中の篠原さんの主な仕事は、司会者と連携を取りつつレッドカーペットの最終地点に到着したゲストをステージの上に誘導すること。

3時間半ほどのイベントで400名を超えるゲストが登場するため、臨機応変にステージでのゲスト紹介やトークを仕切っていかなくてはならない。

トークやフォトコールが長すぎれば進行に支障をきたすが、短すぎると取材陣からは「早すぎる!」という声も挙がる。

ここでも時計をにらみ、連携を取りつつコントロールしていかないといけないのだ。

非常に細かいことだが、篠原さんはゲストを誘導する際、必ず一緒にステージに上がり、整列が終わるとすぐに舞台下に降りてくる。

ゲストが登場するたびに、すなわちこの数時間で数百回もこの階段の昇り降りを繰り返す。

イベントが始まって少しすると、メインステージ脇のカメラマンから篠原さんに新たなリクエストが――。