舞台設定やストーリーのあらすじは、さすがによく練られていて、見る前から楽しみになる。さて、どんな物語を見せてくれるのだろう。
物語の始まりは静かで穏やかなものだ。
西オーストラリアの大学で教師として働くレベッカと生徒たちの日常的なやりとりに癒やされつつ、この後起こる出来事を想像してドキドキする。
まさに青春といった年頃の学生に感情移入しながら、「この後、どれくらい生き残るのかな……」と先読みして悲しくなってしまうのはオトナならではのいやらしい見方か。
なお、バイオハザードの基本的な知識くらいは持っていったほうがわかりやすいが、舞台の中でもこれまでのバイオハザードのストーリーをコンパクトにまとめて教えてくれる。
ナレーションで語るだけでなく、役者陣が演じてくれるので、原作ファンも退屈はしない。
気になるゾンビの描写は、バイオハザードシリーズでいうと初代に近い
そうこうしているうちに、ほどなくして、事件が発生する。
いや、実際には少し前から学生の失踪事件が多発していたらしいのだが、学長が事を荒立てたくなかったため、あまり大騒ぎにはなっていなかったのだ。
この事件を調査するためにクリスとピアーズがやってくるわけだが、ここに現地のBSAA隊員ソフィーや、学長の秘蔵っ子である秘書のマシュー、学園と癒着している警察官マイヤーなどが噛んできて、事態は複雑さを増していく。
ちなみにクリスとピアーズの登場シーンはぜんぶ映像で作られていて、ちょっと笑ってしまった。舞台でそれやっちゃうのかよ! っていう。
そしてついにバイオテロが発生。学園は阿鼻叫喚の地獄へと姿を変えていく。
気になるゾンビの描写だが、手を突き出すようなゾンビじゃなくて、ずりずりと歩くタイプ。バイオハザードシリーズでいうと初代に近い。
舞台なのでホラー映画のような驚かせる演出には限界があるわけだが、そこは音と照明をうまく使って恐怖を生み出していた。
「うおおおお……」という唸り声もかなり初代~3くらいまでの作品を意識している感じ。
だからというわけではないけど、びっくりして息を呑むようなシーンは少なかった。個人的にはもうちょっとドキドキさせてくれてもよかったかな。