「かくれ不眠症」の症状
「かくれ不眠症」の場合、目の疲れや肩コリ、便秘や下痢、こむら返りetc……の身体の不調を抱えていることが多いのですが、さほど気にしない人が多いのです。
でも、これは身体からの“Help”の緊急メッセージなのです。
はじめのうちは、ささいな疲労感ですが、徐々に身体に悪影響が出始めます。この状態を放置していると、ある日突然身体が異常に重くなったり、イライラしたり、やる気が無くなって気持ちが落ち込んでしまったりと、精神面にも悪影響が現れ始めます。
精神面に悪影響が出てしまうと、回復が困難になってしまいますので、「かくれ不眠症」が「未病の入り口」瀬戸際の重要サインです。このサインを見逃してしまうと、今度は、脳が無意識のレベルで本能的に身体の危機を察知して強制指令を出します。それが精神疾患として現れるのです。
身体が重くなったりやる気がなくなるのは、怠け心ではなく、「身体を休めなさい」という脳の指令なのです。
本能を上回るほど意志が強い人の場合、精神的な症状を抑え込みますので、「かくれうつ」状態になってしまうこともあります。肩コリや頭痛、次は不正出血や生理不順に悩まされ始めます。ここまで来ると、身体はもはや危機状態です。自律神経の乱れが始まった証拠です。
「かくれ不眠」で自律神経の乱れが進むとどうなるの?
何にでも一生懸命取り組んでしまう頑張り屋さんほど「かくれ不眠症」になりやすい傾向にあります。
多少きつくても「○○しなければ!」と頑張ってしまうからです。この意志と集中力が、交感神経を活発にさせ、緊張状態を持続させてしまいます。
睡眠不足が続いてホルモンのバランスが乱れがちになっているときにこのような集中状態になると、自律神経の乱れを助長してしまいます。集中しているので痛みも疲れも感じにくくなっています。
交通事故にあったとき、事故の瞬間は痛みが無かったのに、時間の経過とともに様々な痛みが出てくることはよく知られています。極度の緊張状態では、痛みの感覚が鈍ってしまうからです。
痛み・苦痛は脳が認識しないと感じません。だから脳に余裕が無くなると、その時その瞬間に集中していることにばかりに意識が行ってしまうので、事故の瞬間痛みに鈍感になってしまうのです。
睡眠不足状態の時も、極端な話、同じような状態になります。だから仕事が一段落した後、食事の後やお風呂上がりのリラックスした時に、急に肩や背中にコリを感じたり、頭痛や目の上が痛くなったりするのです。これは、仕事が一段落してリラックスしたおかげで、脳にも余裕ができて痛みにも敏感になったというわけです。
交感神経が活発な状態が続くと、全身緊張状態で、血流も悪くなってしまいます。血流が悪いと代謝も悪くなります。
この緊張は腸にも影響を及ぼし、腸を痙攣させ、便を運ぶ腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を不活発にするので、便秘を引き起こします。さらに、腸内の水分は自律神経によって調節されていますので、自律神経が乱れると、腸内水分のバランスが崩れて便秘や下痢になりやすくなります。
また、このような腸内環境の乱れ、血流・代謝の悪化は、身体のデトックス機能の低下、内臓機能の低下、ひいては基礎代謝の低下を引き起こします。その結果、太りやすい体質にもなります。
こんな風に、睡眠不足は未病の原因になるようなことばかり引き起こします。身体の不調は身体のストレスです。ストレスは精神的なものばかりではなく、肉体的なストレスも自律神経の乱れの原因にもなるのです。
さらに、自律神経が乱れると、寝付きが悪くなって不眠も引き起こします。まさに【不眠→自律神経の乱れ→未病→不眠】と不眠のアリ地獄に引き寄せられているようです。こうして、知らず知らずの間に、未病は悪化の一途をたどるのです。