もうすぐクリスマスがやってくる。街を彩るイルミネーション、ケーキに七面鳥、そして何より子供たちをワクワクさせる存在――サンタクロースが訪れるシーズンだ。

私たちが日本人がサンタクロースと聞けば、赤い服を着てソリに乗り、子供にプレゼントをくれる太ったおじいさんを思い浮かべるだろう。しかしこれは1822年にアメリカで生まれた、比較的新しいキャラクター設定にすぎない。

サンタクロースの起源により近いヨーロッパには、プレゼントを配るだけでなく、子供たちを泣き叫ばせ、ひどい時には背中の袋に入れて連れ去ってしまうとウワサされる“黒いサンタクロース”がいるのだ。今回は「サンタクロース=やさしいおじいさん」という幻想をブチ壊しかねない、ちょっぴり黒い話を調べてみた。

サンタクロースにはモデルがいた

まずはサンタクロースのモデルになった人物を知っておきたい。その人は4世紀に生きていたキリスト教の司祭、聖ニコラウス。裕福な家庭に生まれた彼は信仰心が強く、財産も神をたたえるために使おうと考えていた。

ある時、没落貴族の娘たちが身売りされそうになったのを聞いた聖ニコラウスは、こっそり金塊を家へ投げ込んであげたという。この心やさしい贈り物エピソードが、プレゼントを配り歩くサンタクロースのモデルとなったようだ。

さまざまな奇蹟を起こして聖人認定されるほどの聖ニコラウスだが、一方では大切なイベント(ニカイア公会議)中に興奮しすぎて、議論の相手をブン殴ってしまったという言い伝えもある。どうもこれは後世に創作されたエピソードらしいが、もし実話だったら、サンタクロースの起源からしてなかなかバイオレンスな人物だったとも思える。