ぴあの公式ゆるキャラ、くまっぴー・ぴっけろと 撮影・田中真由

——では、先日の東京キネマ倶楽部での単独公演「メランコリパルフェ」の感想をお願いします。

谷:うちはいつも鬱々とした出口の見えない世界観でやってはきたんですけど、今回は心の解決をテーマに企画し、光を目指していく演出に挑戦してみました。

ハッピーエンドというのは初めてだったのですが、やってみたら、ベランダでプチトマトでも育てようかなと思えるくらい晴れやかな気持ちになりまして(笑) 解散するんじゃないかなんて心配されました(笑) 解散しませんよ。また鬱に戻っていきます。

マイクを通してお客さんと相談するように歌っている

——実験台モルモットは鬱々とした歌詞が特徴的ですが、歌詞を書かれる際、何か意識をしていることはありますか?

谷:生まれたものをそのまま記述している感じで、あまり戦略的なものではないんですよ。逆に言うと没作品がありません。作ったものは全て発表していますね。計画的ではなく、全部突発的に作っています。一人で閉じこもった環境で書くことが多くて。僕自身、あまりオラー! ってなる性格ではないので、弾けた歌詞は一度書いてみたいですけどね(笑) 書けないです。

——歌う際に心がけていることはありますか?

谷:昔は、自分を解決させるために歌っていたのですが、今はありがたいことに聞いてくださる方が増えたので、中から外へ、マイクを通してお客様に相談するようにして歌っています。それがニューアルバム『メラコリパルフェ』にも顕著に表れているのではないかと思います。

——谷さんは作詞や作曲の他、CDジャケットのイラストを書いたり、グッズの作成をされたりもしていますよね。歌以外でも表現したいことが多いということでしょうか?

谷:そうなんです。最近は作曲の時間を減らして他の表現の時間を作っています。一個、二個に絞れないんですよね。歌で漏れてしまった部分を絵を描いたり、グッズのデザインを考えたりして補足しています。

——幼い頃から音楽をやっていた谷さんですが、初めて表現欲求が芽生えたのはいつですか?

谷:初めて書いた曲は『中野ノ街ニ雨ガ降ル』という曲なのですが、これは中学一年生のときに作りました。何不自由なく育ってきたのですが、当時初めて「あ、死にたい」と思ってしまって。これは、何かにぶつけて表現をしないと死んでしまうなと思ったんです。

僕は周りに反発をするタイプの思春期ではなく、自分の中に閉じこもってしまうタイプの思春期だったので、ノートに何冊も作品を書いていました。

髪の毛がサラサラな男の娘 撮影・田中真由