ジャンルの共通性はなく、表現を詰め込むスタンス

——ニューアルバム『メランコリパルフェ』は11月27日の同タイトルの単独公演から発売されたんですよね。このアルバムの聴きどころを教えてください。

谷:うちのバンドの曲を初めて聴いてくださる方からは、なんじゃこりゃ? と言われるくらい、全くジャンルの共通性がなく、いろんなジャンルを取り入れています。『メルクマールの表彰台』のようにポップでキャッチーなものから『逆さ部屋のビスクドヲル』のような、全く理解できないような難解なものもあって。

音楽のジャンルにとらわれず、それよりも表現や自分らしさを作品を通して重視しています。とにかく表現を詰め込みましょうというスタンスですね。だから、いつもうちの作品は形容できないんですよ。

——今回のアルバムのレコーディングで、印象に残っている曲はありますか?

谷:『傷と傷と傷』という楽曲は、初めて僕が完全に一人でレコーディングしました。自分でスイッチを押して自分で切るという。

通常、レコーディングの際はPAさんや他のスタッフさんと立ち会って音のチェックやミスがないか録っていくんですが、そうなるとどうしても「作業」になっちゃうんですね。作品というものを作るのに対して邪念というか、気を遣って歌っちゃうんです。

それをなくしてみようと、完全に一人で歌ってみたらうまくいったので、とても思い出に残った曲です。今後はこのやり方でやっていこうかなと思っています。

——実験台モルモットの曲を初めて聴く方にオススメの曲は何ですか?

谷:一番人気があるのが『100万回死んだぼく』という曲です。幅広い世代の方に人気で、ちょっとレトロなジャズっぽい楽曲です。とてもうちのバンドの個性が出ている楽曲ですね。

 

女装をしたら心が広くなった

——谷さんの姿を見た方はみんな気になっていると思うのですが、谷さんは男の娘として、女性の恰好をしてらっしゃいますよね。6年程前、ライブを拝見させていただいた際はまだ男性の恰好だった記憶があるのですが、男の娘になったきっかけは何ですか?

谷:当時お世話になっていた会社さんから、「ロリイタ雑誌の撮影のモデルさんが急に来れなくなっちゃったから、谷君出てくれない?」と言われて。そこで出てみたら、あれっ? 男がロリイタ服を着てもけっこういけるじゃんってなりまして。

当時は2011年頃で、まだ女装男子がブームになっていない時代でした。僕は女装がしたかったわけではなかったので、精神面は置いてけぼりな状態でした。

きっかけとしてはビジネスなのですが、今は精神面も変わってきたので、プライベートも女装しています。女装をしたことのある方はみんなおっしゃるんですが、一度女装をするとモノの見方が変わるんですよね。それでどっぷりとハマってしまった感じです。

——具体的に、どう変わったのですか?

谷:いろいろと待てるようになりました。女性って男性と比べていろんなことに時間がかかることが分かりました。男性の方が、女性の身支度が待てなくて「まだ時間かかってるのかよ〜」とかって、よく見かける光景ですよね。女装したことで女性側の目線で学ぶことができて、心が広くなりましたね。

また、それまではファッションにも無頓着で、あるものを着るといった感じだったのですが、女性物の服を着るようになってから、いろんなブランドやメーカーがあることを知りました。ファッションに興味を持つようになったのも女装がきっかけですね。

——ちなみに、今日お召しになっているお洋服はどこのブランドのものですか?

谷:ブラウスがフランシュリッペさんというブランドもので、スカートはエクサントリークさんというブランドです。ロリイタというより、クラシカルなブランドですね。