2.雑な文章のもの

雑な文章、間違った日本語、わーぎゃー系の言葉のオンパレードのものはよくありません。

これらの言葉は日常生活の中で十分すぎるほど聞いているからです。絵本を通してしか耳にすることが出来ない日本語を聞かせましょう。

子育で忙しい毎日の中で親子の会話は「早くしなさい」「早く寝なさい」の日常会話に終始しがちです。

でも絵本には・・・

“突然、川がぶっくりと盛り上がって大きな鬼が顔を出しました”—『大工と鬼六』

“凍えるような寒さの中、マッチ売りの少女はかじかんだ手をさすりながらマッチを売り歩いていました”『マッチ売りの少女』

など形容詞、副詞、接続詞がふんだんに使われています。

普段の親の口から出る日常会話では習得できない正しい日本語をマスターしていくことができます。「突然、犬が出てきてびっくりしちゃった」「外に出たら凍えそうな寒さだった」と日常的に使えるようになったりします。

実際、お喋りな親の子が語彙が豊富になるわけではありません。よく喋る親だけれども、その言葉を分析してみると単に同じ言葉を繰り返しているだけだったりします。
寡黙な親の子どもでも、絵本の読み聞かせをたくさんされている子どもは語彙数が豊かになります。

ですから、きちんとした日本語が書かれている文章の絵本を選びましょう。接続詞の使い方が間違っていたり、主語と述語がリンクしていなかったり、汚い言葉が使われているものは避けましょう。

3.あらすじだけのダイジェスト版

シリーズ化されたダイジェスト版は安価で手に取りたくなりますがちょっと待ってください。

どの話も定価を一定にするためかページ数が決まっています。ですからそこに無理が生じている文章になっています。また、シリーズだからと話の雰囲気に合っていなくても同じような絵を使っていたりします。

また、1冊の絵本に話が50個入っていて1000円の本もあります。お得だと思って買ってはみたけれど、なんだかあらすじだけが書いてあって教訓が伝わってこないことがあります。
一話たった20円ですから内容もかなり薄くいい加減に省略されています。

例えば『ジャックと豆の木』。

簡単に書かれている絵本を読むと“ジャックが豆のツルを上まで登っていき大男の家から金の卵、ハープなどを盗み最後は大男をやっつけます”とあらすじ程度のものになっています。これでは、ジャックがまるで泥棒に見えてきてしまいます。

私が実際、子ども達にこの本を読み聞かせしたところ、子ども達から「なんだか大男は可哀想だ」と声が上がりました。

本当の話は大男はジャックの家からハープを盗み、父親を食べてしまいます。そのため貧乏になりました。息子であるジャックは勇気を奮って大男の家に入り敵討ちをし、父の形見である金の卵を産む鶏やハープを取り返すという話です。ジャックが正義の味方に見えますよね。

昔ばなしは文章量があるものを選びましょう。

絵本を通して道徳心が芽生え、良心が育ちます。夕飯の食材にスーパーでお得パックの肉を買う感覚で財布のひもを緩めるのはやめましょうね。