「名古屋に行ったら、どこ観光すればいい?」って時々聞かれます。

正直に答えます。市内にはいわゆる観光スポットはほとんどありません。唯一無二の観光スポットは「名古屋城」でしょう。あとは栄や大須で街と食を楽しむくらいかなぁ……。
その唯一無二の観光スポット「名古屋城」へ行ったとします。立派な天守閣、燦然と輝く金のシャチホコ。そりゃもう見応え十分ですよ。おすすめです。でもって今回は、その名古屋城に訪れたついでに、ぜひ立寄ってもらいたい意外な観光スポットをご紹介したいと思います!

    



それは……「名古屋市役所」です!!
えっ? 何ゆえに公共施設???
ゆっくりご説明しましょう。

 


10月29日公開の話題の映画「ステキな金縛り」。ご存知ですよね? そう三谷幸喜監督の最新作です。落武者の亡霊を裁判の証人に連れてくるブッ飛びストーリー。あの裁判所のシーン、実は名古屋市役所でロケしてるんです(※スタジオのセットでの撮影もあり)。

「ステキな金縛り」撮影風景(なごや・ロケーション・ナビ提供)

   

 

 

 

(C)2011 フジテレビ 東宝

    

 

 











昭和8年に建てられた名古屋市役所本庁舎は、戦前の帝冠様式建築の代表作で、とくに大理石を使った玄関ホールなどの見事さは特筆モノ! その格調高さがクリエイター諸氏の目に留まり、近年、映画やTVドラマのロケ地として大人気になっているんです。前述の「ステキな金縛り」だけではありません。今年の春に公開された「SP 革命編」ではクライマックスの国会議事堂のシーンで。そう岡田准一くんが駆け回っていたのは名古屋市役所なのです。他にも映画「笑の大学」、TVドラマでは「官僚たちの夏」「白洲次郎」「華麗なる一族」など時代モノの作品で多数ロケが行われています。

こうした動きは、平成13年にフィルムコミッション「なごや・ロケーション・ナビ」が設立され、積極的なロケ誘致を始めて加速したようです。ロケーション・ナビの担当氏によれば、「中部国際空港セントレア」や「明治村」なども人気ですが、「名古屋市役所」は最近いちばんのウリ、とのこと。

さて、観光の話に戻ります。
名古屋城観光のついでに、名古屋市役所。理由を分かっていただけましたか?
映画やドラマの作品ファンの方のロケ地巡りにも、建築に興味がある方の探訪にも、ぜひオススメしたいというワケ。ちなみに、名古屋城へ行く際の最寄りの地下鉄駅は「名古屋市役所」。そう、お城と市役所はすぐ近くにあるんです。ぜひついでに寄っちゃって下さい。

ところでこの「名古屋市役所」。名古屋市民でも行ったことがないって人が結構いると思われます。住民票をとったりとか、普段の用事は「区役所」で済ませられてしまうので、特別な用事がないと足を向ける機会が意外とないんですよね。だから、そんなに素晴らしい建築だということを知らずにいる人が結構多い。まさに意外な穴場です。

市民に広く開かれている“市役所”ですから、出入りに制限はありません。マナーを守って見学する分には咎められませんから、ぜひ名古屋観光の際には、コースのひとつに加えてみてはいかがですか? 

 いな・ただし ぴあ株式会社 中部支局中部編集部編集長。ぴあでの編集経験25年。映画や音楽などのエンタメに加え、地元・名古屋文化をこよなく愛する。青春の1本は「アメリカン・グラフィティ」。最近ゾッコンの女優はエル・ファニングちゃん。いちばん好きなバンドはTHE SMITH。邦楽だとフジファブ。東京風の蒸した柔らかいウナギは許せない。ウナギはパリッと香ばしくなきゃ! もちろん八丁味噌LOVE。味噌串カツは最高の酒のアテだね。そして当然ドラキチ。幼い頃から高木守道さんを敬愛しているので、来期の監督就任は熱烈歓迎、猛烈応援。