なつ(広瀬すず)の行方知れずの妹・千遥役として、第14週から参入した清原果耶。通常、メーンキャストの出演者は事前に発表されるが、異例ともいえるサプライズ登場になった訳とは? 兄姉と生き別れ、6歳で引き取られた親戚宅から家出をし、過酷な人生をたどる千遥に気持ちを寄せる清原が、役に込めた思い、徹底した役作りや撮影方法などを語ってくれた。
-「あさが来た」(15)以来の朝ドラ出演ですが、オファーを受けたときの感想は?
「あさが来た」は私の女優デビュー作で、芝居の難しさや楽しさ、スタッフ・キャスト全員で作品を作るやりがいを知り、芝居人生のスタートとなった大きな存在です。それ以来の朝ドラ出演は純粋にうれしかったです。
-清原さんぐらいの年齢やキャリアの役者はオーディションで役が就くことが通例ですが、直接のオファーという点にプレッシャーはなかったのでしょうか。
最初は悩んだこともありましたが、プレッシャーは数え始めたら切りがないですし、考え込んでいても仕方がないので、最善を尽くそう!と気持ちを切り替え、「なつぞら」の中でのいいアクセントになるよう、丁寧に千遥を演じようと思いました。演じがいのある役を頂けて、素直にうれしかったですし。
-放送前にキャストが発表されないことも朝ドラでは異例でしたが、そうなった経緯を教えてください。
なつや咲太郎(岡田将生)がずっと千遥を捜している中で、出演者の名前が先に出ることでキャラクター像がぶれたり、イメージが壊れたりすることは嫌だったし、何よりも視聴者の皆さんを裏切りたくなくて、放送まで発表しない方がいいんじゃないかという話になって。その結果、このような出方になったのは、作品を作る一キャストとしてありがたく、うれしいです。
-これまでの「なつぞら」はご覧になっていましたか。
役作りの参考のために千遥の幼少期のシーンを少し見ましたが、それ以外は見ていません。兄姉がどんな表情で、どういう生き方をしてきたかを千遥は知らないので、私自身も知らない方がピュアに千遥として生きられると思いました。
-千遥を演じる上で心掛けたことはなんでしょうか。
過酷な人生で、決して幸せ全開の女の子ではないけれど、悲観的なところが目立ち過ぎるのは作品の中での存在意義として違うと思ったので、監督と相談しながら、声のトーンや動き方、目線の配り方などに注意して演じました。
-千遥は置屋で芸者になるための修行中の身ですが、その点での役作りで工夫したことはありますか。
作法の先生に、手を添える位置や、畳の上の歩き方など細かい部分を教えていただきましたし、姿勢をよくするように心掛けました。日本舞踊にも挑戦しましたが、すごく難しくて、付いていくのに必死でした。稽古から本番まで濃い時間を過ごさせていただきました。
-清原さん演じる千遥が、初めてなつや咲太郎と絡む電話のシーンはどのように挑みましたか。
2人の声を12年ぶりに聞くシーンで、千遥としての思いを大切にしたかったので、リハーサルでもお2人の声は流さないようにしてもらいました。おかげで、とても集中して撮り終えることができ、千遥として、すごく切なくなったし、2人に直接会いたい感情が芽生えました。
-広瀬さんや岡田さんとは演技プランを話し合われましたか。
お二人にはまったくお会いしていません。たとえ役を離れた状態であっても、再会シーンの撮影前に会ってしまうと本番での臨場感が薄れてしまう気がしたので。
-広瀬さんとは映画『ちはやふるー結びー』(18)以来の共演ですが、どのような印象をお持ちですか。
すずちゃんは、相談に乗ってくれる頼りになる優しいお姉ちゃん的な存在です。『Seventeen』(ファッション情報誌)のモデルになったときには「おめでとう」と連絡をくださいました。今回はすずちゃんの妹役なので、頑張らなきゃ!と気合が入りました。
-広瀬さんのように、いつかは朝ドラヒロインにチャレンジしたいですか。
今は想像できませんが、もしヒロインをやらせていただける機会があるなら、これまでの女優としての経験や、2度の朝ドラの現場で感じたことを生かしたいと思います。でも、今は「なつぞら」のことでいっぱいです。
(取材・文/錦怜那)