「そんなつもりじゃなかった」失態例
実は、生活習慣や育った環境の違いによって、思いやりや表現方法が異なることもあります。育った家族の考え方によって、好意や親切のポイントも異なるのです。
言葉は心の翻訳に過ぎないので、気持ちの表現する部分が異なるだけで、受け取る側からすれば、まったく解釈が違います。
たとえば、夫が妻を労り、慰めようとした時の良く聞く失態例をご紹介しましょう。
<妻の労力を減らしたい>
・良かれと思って夫が母親(嫁にとっての姑)の意見を伝える
・生まれたての赤ちゃんの世話に「手伝おうか?」という夫の言葉
・「母さんはそんなとき○○してたよ」という夫の言葉
(……日頃から母親が何でもやってくれて、自分がやる習慣が無い状態で育った男性に多い傾向で、今までの習慣からやってもらうことに慣れていて、妻を気遣いながらも自分が動くことを思いつかないでいる)
<妻を慰めたい>
・勘違いじゃない?母さんはそんな嫌味を言う人じゃないよ。
(……夫としては、どちらの見方についたわけでなく、妻の感情を慰めるために言った言葉。)
人の感情は、その時の体調やタイミング、その時の気持ちによって、受け取り方は千差万別です。「違う2人が一緒に暮らすのだから、伝えなければわからないことの方が多いのが当たり前」ということを心に留めておきましょう。
不満は“お願い言葉”で言おう
夫婦でも伝えなければわからない。とはいえ、ムカつく気持ちを直接伝えてしまったら喧嘩にしかなりません。ではどう伝えたらいいのでしょう。
男性の脳は、本能的に原始時代から狩りの習性で物を考える習性があります。だから「非難」は攻撃と脳が判断し、身構えてしまいます。
戦闘態勢になると、妻の気持ちを考えるよりも、妻の怒りから逃れるために、とりあえず我慢して改めるか、反発するか、スルーして逃げるかになります。
これでは、妻の言い分が理解できなくても、その場の逃げの対処にしかならないので改善に結びつきません。その結果、何度も同じことを繰り返してしまうわけです。
だから、どうして欲しいのかを男性に理解してもらう必要があります。
ムカついたときこそ、まず深呼吸しましょう。
不満や習慣の違いから止めて欲しいこと、それらを「(私は)○○してほしいな」「(私は)△△してくれると嬉しいな」といったふうに、自分を主語にして肯定的に伝えてみましょう。
これなら、男性は戦闘態勢にはならないので、「そうなの?」とか「そういうもの?」といったふうに、女性の希望は叶えようと頑張る姿勢になりやすいのです。
一方、否定的な言葉で伝えてしまうと、こうなります。
「(あなたは)○○しないで」「(あなたが)ちゃんと○○してよ」という、夫が主語の言葉は、些細なことでも否定語になって非難として受け取られてしまいやすいので、注意しましょう。