教育力の低下は、“親子の絆”を求めすぎた結果

榎本さんが教えている大学でも、自分勝手な自己主張をする学生が増えているようですし、また社会に出てから上司の正当な注意に対して傷ついてしまう。
子どもたちが実に弱くなってしまっているのです。

「家庭の教育力再生に関する調査研究」文部科学省委託研の調査によると、学生が弱くなってしまった理由の1位が「子どもに対して、過保護、甘やかせすぎや過干渉な親の増加」(66.7%)となっています。

親の過保護は、教育力の低下の原因ともなっているんですね。
では、実際の親はどのように考えているのでしょう。

同書では、親が子どもの前でありたい姿についての調査結果を紹介しています。

子どもとどのようにありたいか、という質問に対しては、1位が「何でも話し合える友だちのような母親」(83.2%)という結果になりました。また、2位は「できるだけ子どもの自由を尊重する父親」(82.8%)です。

実際には友人のように接したい、自由に過ごしてほしいと、過保護を容認するものとなっています。「子どもに対して厳しく接したい」という父親は17%にとどまり、母親は11.7%でした。この調査結果を見ると、子どもには厳しくよりも優しく接す親が多いことがわかります。

ここで他国と日本の教育に関する考え方を比較してみましょう。日本特有の数字が見えてきました。