アレルギー体質予防は、アトピー性皮膚炎の予防から

人間には、皮膚に潤いを与える「フィラグリン」というタンパク質を生成している「FLG遺伝子」という遺伝子があります。
アトピー性皮膚炎の人の多くは、このFLG遺伝子が変異して十分に機能せず、肌のバリアにほころびが生じているそうです。
フィラグリンが少ないため肌が乾燥し、アレルゲンが侵入しやすくなっているのです。

ここで知っておきたいのは、このフィラグリンを普通に持っている人でも、かゆいところを何度も掻いたり、強くこすったりすると、肌のバリア機能がほころんだ状態になってしまう、ということです。

ナイロンタオルで身体をゴシゴシ洗ったり、石鹸で何度も洗ったり、垢すりしたり・・・それで肌がカサカサの乾燥状態になると、肌のバリアが壊れ、フィラグリンが少ない肌と同じようなメカニズムで、誰もがアトピー性皮膚炎になってしまう恐れがあるのです。

乳幼児期の段階でアトピー性皮膚炎になってしまうと、成長とともに食物アレルギー、気管支ぜんそく、花粉症・・・と、次々にアレルギー疾患にかかる傾向が高くなるといいます。そのため、「幼少期にいかにアトピー性皮膚炎の発症を防ぐか」がポイントになってきます。

乾燥肌はアレルゲンに敏感

また、特に今の段階でアレルギー症状はなくても、「皮膚が乾燥気味の人は、ダニやスギ花粉に対するアレルギー反応を示す値が高くなる」傾向があるといいます。
このことは、乾燥肌の人は、健康な肌の人と比べてアレルギー反応を起こしやすい、ということを示しています。

ほかにも、「皮膚が乾燥してバリア機能が弱った子どもは、健康な皮膚と比べて、その後5年間でのアレルギー性鼻炎の発症率が約2倍」だったという報告も。

自然の少ない都市圏では、冬の低温下では湿度が大幅に下がり、極度の乾燥状態になります。
さらに、エアコンなどの空調の影響で、肌はますます厳しい環境にさらされます。

子どもから大人まで、肌の保湿ケアをして乾燥から守り、皮膚のバリア機能を正常に保つことは、アレルギー疾患から身を守るために重要だといえます。
それにより、皮膚からのアレルゲンの侵入を防ぐことができれば、アレルギーの連鎖を防げる可能性があるかもしれません。

日常生活での対策法を、いくつか挙げてみましょう。