女性に多いといわれる便秘。
「便秘くらい」と油断して長い間放置していると、お肌に悪いばかりでなく、いつか深刻な病気となって表面化するおそれも。

健康の基本は、腸からの“よいお便り”です。
日本機能性医学研究所所長である斎藤糧三氏の著書『慢性病を根本から治す「機能性医学」の考え方』から、便秘の改善のほか、腸の健康に役立つヒントを探っていきましょう。

便秘によって肝臓の苦労が水の泡に

身体には毎日、水や空気、食べ物を通して、さまざまな有害物質が入りこんできます。

それらの有害物質のうち、水に溶けやすい水溶性のものは腎臓で処理され、尿として排泄されます。
一方、脂に溶けやすい脂溶性のものは、肝臓で解毒されます。肝臓が水に溶けやすい化合物に加工して無毒化し、尿や便として排泄するのです。

便秘していると、この毒素を結合した化合物が、腸内に長く停滞します。そして困ったことに、腸内の悪玉菌がこの化合物をバラバラ分解してしまうのです。

分解された毒素は、大腸の粘膜から再び吸収され、血流にのって全身をめぐります。
腸にとどまっているだけならまだしも、有害な毒素が身体にじわじわと流れ込み、身体機能を混乱させるのです。

便秘の主原因は、生活習慣にあり

食物繊維の多い野菜や海藻を食べなかったり、食事の量そのものが少なかったりすると、便の量が減ります。すると、大腸を通過する時間がスローダウンするため、その間に腸壁から水分をどんどん取られて便が硬くなり、排便しづらくなります。

また、通常、胃に食べ物が入ってくると、その刺激によって排便が促される「胃・結腸反射」が起こりますが、便秘が続くとこの反射が鈍り、便意をもよおしにくくなります。
便秘が続くと、ますます便が出にくくなり、腸内には悪玉菌がはびこる、という悪循環に陥ってしまうのです。

運動不足水分不足生活リズムの乱れストレスなども便秘の原因となります。
女性のがん死亡率のトップは、いまや「大腸がん」という時代。
便秘症状が続く場合は、早めの対策を施したいものです。