自然の食品から幅広く、バランスよく

腸にいいと言われる食品は、身近にたくさんあります。

善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)を外から取り入れるための「発酵食品」、便の量を増やして排便を促す「不溶性食物繊維」、腸内にもともといる善玉菌のエサとなり、腸の機能を活性化させる「水溶性食物繊維」と「オリゴ糖」。
いずれも薬剤や健康食品などに頼らず、自然の食品から摂り入れるのがベストです。

腸内の環境をよくする食品

発酵食品】 ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、キムチ、梅干し、酢・味噌・しょうゆなど
不溶性食物繊維】 穀類(精製度の低いもの)、野菜(根菜など)、豆、きのこ、いもなど
水溶性食物繊維】 海藻、果物、こんにゃくなど
オリゴ糖】 野菜(キャベツ・玉ねぎ・ごぼうなど)、果物、大豆、はちみつ、牛乳など

また、傷ついた腸管を修復するために摂り入れたい栄養素がこちら。

腸管を健康にする栄養素

タンパク質】【グルタミン】肉・魚介類・卵・大豆など
ビタミンB群】動物性食品、海藻(ひじき・のりなど)、ごま、ナッツ類、にんにくなど
ビタミンA】レバー、卵黄、チーズ、緑黄色野菜など
ビタミンD】魚介類、きのこ(乾燥きくらげなど、干したものは特に多い)など
亜鉛】タンパク質を含む食品、ごま、ココアなど(※加工食品などに含まれる「リン酸塩」は亜鉛の吸収を阻害します)
オメガ3脂肪酸】魚介類、アマニ油、エゴマ油など
植物由来の抗炎症物質】ケルセチン(玉ねぎ・モロヘイヤ)、へスペリジン(みかん)、クルクミン(ウコン)、ハーブ類など

★タンパク質を摂るときに注意したいのは、卵や牛乳・乳製品、小麦などに対するフードアレルギー(遅延型[非即時型]フードアレルギー)の有無です。

病気の予防を目的とする「機能性医学」では、腸内環境の悪化や腸管の炎症、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患や自己免疫疾患の要因の一つとして、フードアレルギーに着目しています。

食べものをしっかり「消化」させよう

意外に見落としがちですが、食べるものに気を配るだけでなく、食べ物の“消化不良”を防ぐ視点も大切です。

消化不良に陥ると、腸から効率よく栄養を吸収できず、腸によけいな負担がかかり、それが腸の炎症の原因になったりします。
よく噛み、消化を助ける食べ方が、腸にもやさしいといえます。

消化をよくしてくれる食べ物を取り入れるのもひとつの方法。
最も手軽なものは、大根おろしです。生の野菜や果物には酵素がたくさん含まれますが、中でも大根おろしは消化酵素をたっぷり含んでおり、デンプンを分解する「アミラーゼ(ジアスターゼ)」、タンパク質を分解する「プロテアーゼ」「セテラーゼ」、脂質を分解する「リパーゼ」と、3大栄養素の消化をオールマイティに助けてくれる優れもの。

またキウイやパイナップル、いちじくやパパイヤなどの果実には、タンパク質分解酵素が豊富に含まれるため、適量を組み合わせて食べるのがおすすめです。

食べ物をしっかり消化して丈夫な腸を育て、気持ちよいお便りが毎日届く。
そんな爽快な日々をめざしたいですね。

<参考>
『慢性病を根本から治す「機能性医学」の考え方』斎藤糧三/光文社新書
『「酵素」の謎 ―なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか』鶴見隆史/祥伝社新書

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。