日々、育児や仕事に追われる中で、家事まで完璧にこなすのは無理。とはいえ、全くやらないわけにもいかず、家事とどのように向き合ったらいいのか、本当に悩ましい問題ですよね?
忙しくて「家事をしたいのにできない」ことが心の負担になったり、誰かに家事を頼んでも「自分のやり方と違う」という新たなストレスが生まれたり。また最悪の場合、家事に対する不満が募って、家族間の争いへと発展しかねません。
そこでご提案。もし今、家事に対してモヤモヤを感じているならば、少し視点を変えて、家事を減らすことを考えてみませんか?
今回は、翻訳家として多くの国の人々と親交をもち、『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす (光文社新書)』など家事や掃除術の著書も多い、佐光紀子(さこう のりこ)さんに“家事を減らすコツ”を伺いました。
ぜひ参考にして、家事も心も軽くしてくださいね。
1. 「夫」にまかせてみる
まずは、「1個でも2個でも、完全に夫に何かをまかせてみては」と佐光さん。例えば、『牛乳係』や『マヨネーズ係』などの係を決め、「〇〇はパパの責任でお願いね」と丸々まかせてしまうのです。
佐光紀子さん(以下、佐光)「頼まれたら買いに行くというのは、『お手伝い』です。手伝ってくれても管理をこちらがしなければならないのでは、気持ちが休まらない。だから、そろそろなくなるなと思ったら買ってくる。そこから全部まかせるのです」
ゴミを出すのも、例えば月曜がペットボトルを出す日ならば、「よろしくね」とすべてまかせる。1~2回は出すのを忘れたとしても、分担をはっきり決めたら、もう口は出さない、手も出さないようにしましょう。
佐光「やり方にダメ出ししないのも大事です。
男性は社会の中で仕事をしているわけですし、育ってきた環境で学んできたものもあります。彼には彼のやり方があるでしょうから、やってもらうなら彼のやり方にまかせて、トライアンドエラーで学んでもらう。そして、学んでいる間は口を出しません。
掃除も、『夫にまかせると時間がかかって…』という声をよく聞きますが、それまでこちらが引き受けていたものを突然渡せば、当初は思うようにはいかないわけで…。
文句を言いたくなったら美容院へ行き、帰ってきてキレイになっていればそれでよし、と(笑)。
最初は少しぐちゃぐちゃするかもしれませんが、やっているうちにある程度、家事の能力は上がってきます。自分は片付けが苦手だなと思ったら、リビングだけは相手にやってもらうとか、靴だけは揃えてもらうとか。
『やってもらえると助かる』と言って、嫌だと思うものをさりげなく渡してまかせてしまう手もあります。物の言い方というか、ちょっと言葉の使い方だけ工夫して、働いてもらうのです」
2. 「子ども」にまかせてみる
生活力をつけるためにも、子どもにも、何かをまかせてみましょう。子どもの場合は、「褒めれば家事をやってくれるようになる」と佐光さん。例えば炊飯にしても、やっているうちに上手になっていくといいます。
佐光「最初はおかゆみたいなものができたり、失敗もあります。でも、やり方を何回か教えたら、最初の数回は怒らず我慢。うまくいかないと、子どもは『何が悪かったんだろう』と考えて、学んでいくんです。即戦力とはいきませんが、長い目でみると、意外と使える子どもたちが育ってくると思います。
我が家では、(3人兄弟の)真ん中の子がごはんを炊くのが上手。真剣にとぐし、きちんと量るから、一番ごはん好きな子が一番おいしく炊けるんですね」