佐光さんのお宅では、夏休みの間だけ、「夕飯のごはんを炊く」「お風呂を洗う」「犬の散歩をする」の3つを、表を作って毎日子どもたちにやってもらっていたそう。
佐光「子どもも大きくなってくると、『今日はバイトで遅くなるから犬の散歩ができない』など、いろいろなことが出てきます。でも、その調整も3人にまかせました。すると、『じゃあ犬の散歩2回と〇〇をトレードしよう』などと、システムが彼らの中でできてくるのです」
ポイントは、やってもらったら大いに喜ぶこと。
佐光「文句を言いたくなるものは、自分でやったほうがいいと思いますが、これはハードル下げてもいいやと思うものは援軍を頼む。
いきなり全部をまかせるのではなく、洗濯物だったら取り込むだけとか、部分的にでもやってくれる人を見つけて上手に渡していく。そうすると、いざというときにはもうやり方がわかっているので、いつでもやってくれるようになっています」
3. 「お弁当」や「朝食」を見直してみる
毎日のお弁当や朝食作り、大変ですよね? 日本では、「母親が家庭の仕事をきちんとすることが、学校での子どものパフォーマンスにつながる」という感覚が強いもの。
けれども、佐光さんの周りのアメリカ人などは、そこまで母親が抱え込んでいる感じはしないし、ボランティアで忙しかったりして、常に子どものことに気が向いているとは感じないそうです。
佐光「お弁当も、チーズやハム、ジャムなどのサンドイッチを2~3個、それにりんごとジュースがあるかないかといった感じ。生のにんじんを長いまま、細く切ったのがお弁当に入っていたりします。
基本的にはほとんど火を使うことなく料理を成り立たせていて、それのどこが悪い?普通じゃない?という感覚です。朝食もシリアルと牛乳だけ、熱を使うのはコーヒぐらい、というのが普通です」
日本では、「朝食を毎日食べる子どもは成績がいい」との調査結果などもあるように、朝ごはんの大切さがしきりに説かれます。しかし、世界の国々の一般家庭の朝食は、意外とあっさりめとのこと。
また、OECDの学力調査でトップになったシンガポールでは、屋台などでの外食が一般的になっています。
佐光「日本では、食事一つとっても、『外食は健康に悪い』『手作りが体にいい』と言われて、なかなか手が抜けない。
でも、一歩離れて海外の人たちをみてみると、普通に生活していける人を育てるぶんには、そんなにきっちりしなくてもいいのでは…という気がするのです」
4. 「習慣」を見直してみる
当たり前になっている「習慣」も見直してみましょう。「これが正しい」という思い込みを疑ってみることも必要かもしれません。
佐光「例えば、大掃除。これは江戸時代、陰暦の12月13日に煤(すす)や埃を払う神道行事が始まりのようです。
昔はかまどで煮炊きをしていたので、たしかに家の中は煤だらけだったでしょう。でも今は、煤は出ないし、汚れのほとんどは油です。そして、油は冬には固まってしまう。だからなにも忙しい時期に大掃除する必要はないのです。
けれども『やっぱり新年を迎えるにあたって』…という話になる。身を清めて、新しい年神様を迎える…とのことですが、年に一度、お正月くらいにしか神社に行かないような家庭であれば、それほど関係ないような気がします」