5.「ライフスタイル」を見直してみる
「ライフスタイル」の見直しにも、家事を減らすヒントがあります。日本では戦後、生活様式が一変、一気にアメリカナイズされた生活になりました。そこでの変化が、じつは家事に大きな影響を与えているといいます。
佐光「例えば食器も、和洋折衷で形も焼き方もいろいろです。アメリカ人の家に行くと、もちろん菜箸などはないし、お皿の形はだいたい決まっていて、コース料理のお皿が人数分、といった感じ。それを日本の3倍くらいのキッチンに収めている。
日本では、ラーメンのどんぶりあり、重箱もあり…もはやそういう生活を捨てられない。それを狭いキッチンの中に収めるとなれば、片付かないのも仕方がない部分があります」
また、多くの日本家庭の玄関に置かれる“玄関マット”は、アメリカでは基本的に玄関ドアの前に置いてあるそう。靴を履いたまま家に入って生活するため、外から帰ったら靴の裏をきれいにしたい。だから玄関前にマットを置いておかないと意味がないと言われ、「たしかに」と思ったそうです。
佐光「そうなると、日本の家の玄関にある、あのマットは一体何?と(笑)。しかもあの場所にあるから、角に埃がたまる。なくても困らないものって、結構多いと思います。
狭い空間のために特別に置く、“トイレのスリッパ”もそうですし、“トイレのマット”は、触るのも嫌という人も。本当に譲れないものをやめる必要はないと思いますが、“きれいなごみ”は家の中に意外とあるかもしれません。
6.「心の負担」を見つめてみる
人によって、なんか嫌だな、面倒だなと感じる家事はきっとあるでしょう。そんな自分の心も見つめてみましょう。やると気持ちのいい「ふとん干し」も、じめじめした時期にふとんを干せないことが心の負担になるという人が多いそうです。
佐光「ふとんを干しておろして…というのも重労働ですし、干したら干したで〇時に取り込む、と気にしながらすべてをマネージしなければいけない。そういう見えない家事は多いですよね」
もしふとんを干す、ということを負担に感じるとしたら、例えば週末に2時間くらい干せばすむ羽毛ふとんに変えてみる。これはいらない・嫌だなと思うことをやめてみたり、変えてみる。1個1個の家事を見直すことも、家事を減らすコツのようです。
佐光「子どものおもちゃが片付かないと思ったら、段ボールに半分入れてみる。意外と、半分なくなっても気づかれなかったりします。いきなり捨てるのではなく、ちょっと減らしてみたりして、やめたいと思うことを静かにやめていくのです」
7.「完璧」をやめてみる
今は、人生で最も大変と思われる、子育て中。そこで、「完璧」という言葉はいったん忘れてみましょう。
日本人の場合、男性が女性に頼り、女性もそれに答えなければと真面目に考えてしまう人が多いそうです。けれども、母親になったら何でもできるようになるわけではないし、誰もが全部の家事を上手くできるはずはない。できないことはできないと開き直ることも大事だそうです。
佐光「赤ちゃんは、特殊な場合は別として、基本的には育児をしたことがないお母さん・お父さんに育てられても生き残れるような状態で生まれてきます。だからまるで腫物に触るように完璧にしなくても、ある程度生き抜けるはずなのです」
母乳で育てるべき、指をしゃぶっていると歯並びが悪くなる…子育て中はとかく、外野からいろいろなことを言われがち。けれども、それに応えなくてもいい、という選択肢もあるといいます。
佐光「離乳食を食べてくれないと嘆いてしまいますが、赤ちゃんにも食欲がないときはあるし、食べたくなれば食べるでしょうと。いろいろなものを食べさせてみて、これはよく食べるなとか、実験感覚で一緒に楽しんだほうがいいのでは。
1年目は、お母さんも1年生なので、何もできなくて当たり前。頼めるようだったらどんどん人に家事を頼んだり、買い物も宅配でしのいだりして、休める時は休み、完璧にやろうとするより、楽しめる方向に向かったほうがいいと思います」
また、日本人女性はとかく、その場を収めるために謝ってしまうことが多いので、「ごめんねと謝るより、ありがとうといったほうが気持ちが明るくなりますよ」とも。
まとめ
家事を減らすコツは、家族とのコミュニケーションを密にすることや、今までの生活のしかたを見つめ直す柔軟な視点をもつことにヒントがありそうです。
すべてを1人で抱え込まず、上手な駆け引きで家族を家事のループに巻き込み、「いつのまにか家事が楽になってた」「気づいたら家事が分業されてた」…そんな理想の体制を整えていきたいですね。