今年もインフルエンザの感染が広がりを見せていますが、感染を予防するための対策は、手洗い・うがいだけで十分、と思っていませんか?

じつは、それだけでは不十分。なぜなら気づかないうちに、家庭内でもインフルエンザウイルスがじわりと広がっていく恐れがあるのです。

どうして、感染が広がってしまうのでしょうか?

今回は、インフルエンザウイルスの“家庭内感染経路を可視化する”という、ちょっと変わったイベントに潜入。実際に家の中でどのようにインフルエンザウイルスが広がっていくのか、そして感染を予防するためにはどんな対策が有効なのか、芝大門いまづクリニック院長・今津嘉宏医師の解説を交えながらレポートします。

インフルエンザウイルスは“思わぬ場所”に広がる

厚生労働省の調べによれば、1回くしゃみをするだけで、約200万個のインフルエンザウイルスが拡散。1分に3回くしゃみをした場合、1時間後の室内のウイルス量は、なんと3億6000万にもなるそうです(※厚生労働省調査から医師のアドバイスに基づき推計)。

インフルエンザウイルスは目に見えません。だからこそ、対策の難しさがあります。そこで蛍光塗料をインフルエンザウイルスに見立て、それが家の中でどのように広がっていくのか、実際の生活を再現しながら感染経路を可視化。

明かりを消してブラックライトを照射すると、手で触れた部分がぼんやりと青白い光を放ち、感染の様子が明らかに…!

玄関からリビングへの扉

ドアの感染源は、「取っ手」だけではありません。扉のあちこちを触りながら、ドアを開け閉めしていることがわかります。

今津嘉宏医師(以下、今津)「ドアノブだけではなく、小さな子どもの場合は低い場所を触ります。意外なところにつくんですよね」

キッチンの蛇口

キッチンの感染ポイントは、シンクの「水栓金具」の部分。気づかぬうちにインフルエンザウイルスが拡散します。

今津「最初に、インフルエンザウイルスがついた手で蛇口を触りますよね。それから洗ってきれいになった手で、また蛇口を触ってしまう。さらにその手をタオルで拭いてしまう…。そうすると、手をきれいにしても結局、汚れてしまうことになります」

冷蔵庫

冷蔵庫は、閉めるときに、より感染が広がるようです。扉の平面部分に手の跡がいっぱい…。

今津「扉を閉めるとき、手で押して閉めたりしますよね。すると、開け閉めする取っ手の部分だけではなく、他のところにもついてしまうのです」