少女ボニーが教えてくれる、ゲーム遊びでは得られないもの
『トイ・ストーリー3』の“その後”を描いた、スピンオフ最新作『トイ・ストーリー 謎の恐竜ワールド』では、アンディからウッディたちおもちゃを譲り受けた少女ボニーが、ウッディたちと一緒に楽しく“想像遊び”をする姿が描かれています。
ピクサー作品らしいクルクルと変わる表情で“想像遊び”をするボニーの姿に惹きつけられたお友達が、夢中になっていたテレビゲームを止めて、ボニーの“想像遊び”に加わるシーンでは、まるで自分も一緒に遊んでいるかのような爽快さを感じます。
“謎の恐竜ワールド”に住む恐竜のおもちゃたちは『トイ・ストーリー』に登場したバズ・ライトイヤーのように、“自分がおもちゃであること”を知らず、大人がおもちゃに与えた設定のままの生活をおくっています。
一方で、『トイ・ストーリー3』以前、ウッディたちが少女ボニーと出会う前から、ボニーと一緒に暮らしてきたトリケラトプスの女の子トリクシーは、自分は恐竜のおもちゃなのに1度も恐竜役として遊ばれたことがないと苦悩しています。
しかし、ボニーやそのお友達に遊ばれることにより、子どもたちに遊んでもらえることの喜び、子どもの豊かな発想で“何にでもなれることの喜び”に気づくのです。
何にでもなれるのは子どもたちも同じ。
自分の世界を想像しながら遊ぶ経験は、子どもの創造力を豊かにします。
“想像遊び”が導いたボニーの成長
『トイ・ストーリー 謎の恐竜ワールド』では、少女ボニーの表情が『トイ・ストーリー3』とは少し変わっていることに気づかされます。
映画『トイ・ストーリー3』に登場したボニーは、サニーサイド保育園に通うおもちゃが大好きな4歳の女の子。
『トイ・ストーリー3』では、少し恥ずかしそうに目をそらしていたボニーでしたが、本作ではお友達と元気いっぱい遊んでいます。
“想像遊び”は、2歳ごろから盛んになり、3〜4歳ごろにピークを迎えるといわれていますが、序盤は子ども自身が目にしてきたものを模倣し、1人で遊びの世界を構成しています。
お友達と同じ場所にいても、別々の遊び、別々のルールで遊んでいる様子を見たことがある方もいるかと思います。
遊びを繰り返すに連れ、次第に目にしてきた世界を咀嚼し、自分の中に取り入れていくことができるようになります。
つまり、“想像遊び”を通じて、人間関係や社会での役割、ものの使い方やルールを学んでいくのです。
私の子どもも、黙々と1人で人形遊びを楽しんでいたのですが、成長につれ、お友達とごっこ遊びをするようになりました。
お友達との関わりの中で「本当はあの役をやりたかった」「お友達がちょっとイジワルなことを言う」など、困難に出会うこともありましたが、“想像遊び”でのコミュニケーションを通じて、少しづつ相手の気持ちをわかるようになっていきました。
お友達と一緒に遊んでいるボニーの姿は、想像遊びが導いた心の成長ではないでしょうか。