「認知症」と聞いても、「まだ若いし、自分には関係ない」話だと思ってはいませんか?
でも、じつは他人事ではありません。関係ないと思っているからこそ、注意が必要だったりします。

現代の生活環境では、気づかないうちにじわじわ脳が衰え、40代頃から、記憶力の低下など気になる症状が現れてきやすい状況にあるといいます。
その原因の一つが、「偏った脳の使い方=脳のゆがみ」にあるそうですが…

『脳コンディショニング』(かんき出版)の著者であり、大ヒットとなった『脳の強化書』シリーズなどでも知られる加藤俊徳先生(医学博士/「脳の学校」代表)に、お話を伺いました。

まじめな主婦ほど「不健康」脳に注意!

加藤先生によれば、人間の脳は右脳と左脳に分かれており、さらに、役割ごとに120ほどの「脳番地」に分けられるそうです。
脳番地は、偏りなく、全体をバランスよく使うのが理想。
しかし、現代人の多くは、その使い方のバランスが偏り、主に左脳ばかりを使う「不健康」な脳の状態になっているとか。
「不健康」な脳の状態が続くと、しだいに脳全体の機能が衰えていくことが懸念されます。

「日常の中では、『きれいになりたい』とか、そういうちょっとした心掛けひとつで、差が開いてきます。10年前、女の子が山手線の中で化粧をしていて、その時は『みっともないな』と思ったんですが、今では、男にはあの欲求はないなと思って。裏を返すと、電車に乗る間、その寸暇を惜しんでまでも、『きれいになりたい』という欲求が、女性を強くするのだなと。

世間話なども、脳を柔軟に使うひとつの方法なんです。八芳園(加藤先生のオフィス近く)で昼ごはんを食べてるのは、ほぼ9割女性ですよね(笑)。

では、女性が『不健康』な脳になる原因はなにかというと…、じつは真面目な女性で、何でもできる女性が、不健康な脳になりやすいんです。特に30代から40代前半、早く結婚した、子供がいる、お姑さんがいる、そういう主婦層の人が、10人いたら1人くらいは『不健康』。

脳の病気になっているわけではありません。毎日、食事を作る、子供が学校へ行く、お姑さんの面倒をみる…、そうしていかないと日常が回らないから、全部、トントン前向きにしか処理していかない。そうすると、脳が“働くロボット化”するんです。そういう人が脳のどこを使っているかというと、脳の前の方にある思考系と運動系の脳番地、ここしか使っていない。

テキパキ処理して全部さばいていくので、自分の中で情報を分析して、納得して、吐き出すなんてことは、ほぼしない。次々に考えずに処理する。“こなす”だけなんですね。でも、じつは、考えなくてもできることを続けていると、記憶力が低下するんです」