面倒くさい…でも“便利”が「不健康」に拍車をかける
「同じような脳の使い方をして、生活をこなしていくだけだから、振り返ることがない。一方で、暇なときはパソコンやスマホを使う。そうすると、記憶力を鍛える時間がまったくない。
便利になると、いろんな“手数(てかず)”をかけることがなくなりますよね。すると、“手数”をかけることが億劫になって、面倒くさくなって、やらなくなる。そうすると、どんどん使える脳の場所が狭くなり、“不健康”になってくる。元々はできていたのに、気づいたら脳を使わなくなっていて、できない脳と同じになってしまう。じつは脳は使わないでいると、その自覚もなくなってくるんです。
そういう女性があるとき、美容室に行って雑誌を見たら、全然頭に入ってこない。わかっているような文章で書かれているのに、わからない。興味が沸かない。
わたし、認知症かしら…?と30代後半の人が思う、ということがあります」
頭が悪くなる!? 失われる「生活実感」
「真面目な人は、“やるべき事”をこなしていくので、“やりたい事”がないがしろになります。後回しになるんです。“やるべき事”と“やりたい事”では、使う脳番地が違います。“やりたい事”を積極的にするときの方が、今まで使っていない脳番地を使います。
でも、いざやりたい事をするときでも、お天気を調べようとスマホを見てしまったり。大雪が降っているときに、わざわざスマホで調べて『○○地方、積雪○センチ」と確認したり。外を見ればわかるのに(笑)。
自分の目で見ればわかるのに、見た方が正しいに決まってるのに…っていう、不思議なことが起こっています。それは脳が劣化しているせいで、自分の感覚に戻さないと、じつは危ない。
1日の楽しみや喜びが減ってくるんです。自分の感覚とか自覚に、正直な気持ちで過ごしていかないと、生きた心地がしない。“生活実感”が失われるんです。
その“生活実感”はローテクな生活でしか起こらないのですが、パソコンやスマホを使って、さらにローテクな生活から離れてしまっている。“生活実感”がなくなると、結果的にうつになり、頭が悪くなる、右脳が使われない…そういうサイクルになります」