蒼井 演劇です!

浦井 かっこいいー!

蒼井 ごめんなさい、本当は次の日に昼公演があるのにカラオケに行っちゃう(笑)。

浦井 (笑)じゃあ、演劇以外だと……?

蒼井 うーん、全般的に、たいして情熱はないと思います。好奇心はあるけど、ある程度調べたりして好奇心が満たされたら次に移っていく。本でもそうで、「この作家」と思ったら集中して何冊も読みます。

浦井 “作家読み”するんですね。

蒼井 あ、それでいったら谷崎潤一郎かな、情熱を傾けているもの。谷崎に対する熱量は常に高いです。谷崎の作品はもちろん関連書籍もあれば買います。ゲラゲラ笑いながら読んじゃう。浦井くんは?

浦井 声帯のことを自分なりに研究することかな。どういうところでどう鳴らすとどう響くかとか、こういう年齢の役の歌い方をするにはどうすればいいかとか。人を見る時も声帯を見ていたりします(笑)。

蒼井 確かに『五右衛門〜』のときも声帯を使わずに歌う、みたいなことを……。

浦井 そんなこと言った?

蒼井 ごめん、ちょっと流して聞いてたから詳しくは覚えてないんだけど(笑)。

浦井 そうそう!『五右衛門〜』の時に蒼井さんが「こうやって歌うにはどうしたらいいですか?」って聞いてくれたので、僕が一生懸命答えたら「ああ、そうなんだ」で終わった(笑)。

蒼井 難しかったから……。

浦井 確かに理論的に話し始めてたのかもしれないね。

蒼井 わかったのは浦井さんがすごいってことだけでした。

——————こうして話を伺っていると、一見すごく楽しい芝居のような錯覚を覚えますね。

蒼井 コメディならよかったんだけどね(笑)。

浦井 いや、この雰囲気も決して無駄ではないはず。なぜなら兄妹役ですから!

蒼井 なけなしの真面目さを持って頑張ります(笑)。

photo:ANDO Tsuyoshi


『あわれ彼女は娼婦』
2016年6月8日(水)〜26日(日) 新国立劇場中劇場
作:ジョン・フォード  翻訳:小田島雄志  演出:栗山民也
出演:浦井健治、蒼井優 ほか

ライター。電話がつながらないときはだいたい劇場かライブハウスにいます。演劇を中心にエンターテイメント系記事を雑誌、webで執筆。雑誌『SODA』で「大人女子のための歌舞伎入門」、『ピクトアップ』にて「芸人、かく語りき」を連載。